ジャクボーの納戸
ついに、ここまで来てしまいましたね。ここから先は文鳥とは関係のないことしか載ってませんよ。ここはジャクボー(雀坊)、またはユウ・ジャクボー(有雀坊)、「有若亡」(有って亡きがごとし)からくるペンネームを称する人物が好き勝手をし、まったく脈絡なしに突発的に出現する危険なページで、その中身は何ら意味がありません。引き返されることを強くお薦めします。
9、ハゲ頭の傾向と対策
さて、私は他人にハゲについて、とくとくと語れるほど立派にハゲてはいないが、一時心労が重なったのか薄くなり、なるほどストレスというものは外見に出るものだと感心したものだった。
以来、浅はかな者はからかい半分、善人は心配半分に、
「あれ、髪が薄くなったんじゃない?」
などという。面倒なのでこう答えて彼のふさふさした頭を、じっくりと見つめることにしている。
「そうだろう。頭を使っている証拠だな。」
しかし一端ハゲにかかわりを持つと、他人の頭が気になってくる。そしてその何と奥深いことか。「何だ、ただのハゲかくし」などと簡単にいってしまう人は、まず真理へたどり着くことなどないと知るべきである。
※ここでいうハゲは健常な成年男性の薄毛のことである。
1、バーコードハゲ 人が己の頭に変化を感じた時の対処として最も嘲笑を浴びるものにバーコードハゲがある。一方の側頭部に残されたわずかな髪の毛を反対側に横一文字に持っていき、頭頂部のはげ部分を覆う。 「無駄な抵抗しやがって」、確かに無駄な抵抗に見えるだろう。他人から見ればその行為はハゲを隠すことにならず、むしろみっともない未練がましいものでしかない。しかし、考えねばならない。そのバーコードの人も始めからそう言う状態ではなかったのだ。 ある日、鏡を前にした彼は自分の髪が薄くなり生え際が目立ってきていることに気づく。そこで少し髪の分け方をかえてみる。…真中から分けると気にならなくなった。そしてしばらくして鏡を前にした彼はまた気づいてしまう、真中分けにすると地肌が目立つようになっていることに。彼はためらうことなく側頭部の髪を頭頂部にもって行き地肌の露出を減らそうとする…。 そんなことをハゲの進行とともに、日常的に繰り返していく内に、いつしかバーコード状になってしまったのだ。バーコードは一日にしてならず。心有る人はしみじみとその経過を思いやり、人間的な共感をもたずにはいられない。 |
2、ヒゲをはやす 頭が薄くなるのと反比例してヒゲを伸ばす人がいる。 「髪がないからヒゲでもとかしているんだろう」などと嫌味を言ってはいけない。確かにそうかもしれないが、これほど生理現象に従順な姿はない。何しろ一ハゲの原因であるとされる男性ホルモンはヒゲを濃くする働きも示すのだ。つまり、ハゲるのも自然、ヒゲが伸びるのも自然なのだ。 つまり、その人はあるがままを甘受しているにすぎないわけだ。心有る人はその奥ゆかしい態度に敬意を表さずにはいられない。 |
3、髪を束ねる 髪をひっつめ、後ろに束ねてポニーテールにする人がいる。 うかつな人は、それを昔の侍に見立てて男性的な行為とみなすが、大体は何のことはないハゲ頭への対処の一つなのだ。 頭が薄くなってくると髪を切りたくなくなる。おそらく一本の髪すら捨てがたい心境となる。必然的に長髪となるが、髪を分けるとかえって地肌が目立ってしまう。ところがこれを後ろにひきつめてしまうと分け際がなくなり、実に都合が良い。 しかし、それが事実であっても、髪を束ねるのが自己主張のような顔をしている人間に余計なことを言うのは情けがない。おでこが徐々に広がるポニーテールの男を見て、心有る人は微笑まずにはいられない。 |
4、髪を短くする |
5、髪を染める 前髪の一部を染めたり、いっそ全体を金髪に染めてしまう人がいる。 前髪の一部を染めるのは、そこに視線を集中させ、頭全体への注意をそらせるのを目的としているようだ。実に人間の心理をついているではないか。それに対して全体を染めるのは短くするのと同様の効果を狙っている。つまり薄くなった地肌が目立たないようにするための策なので、おしゃれのためとかでは全然ないのだ。 心有る人は、日本人が地肌を目立たせてしまう黒髪という宿命を持ち、それを克服する叡智を備えていることに、しみじみと感動せずにはいられない。 |
6、いっそ丸坊主に 髪が残っているから執着もするし、気に病むのだ。いっそ丸坊主にしてしまえば、毎日カミソリで剃る快感をまでえられるというものだ。マイケル・ジョーダンの真似だとか、社会に対する抗議などと本人が言ってもそれは照れ隠しに過ぎない。 心有る人は、その思いきりの良さに、もはや拝まずにはいられない。 |
7、いっそかつらを 言わずもがなだろう。やたら不自然だったりするが、心有る人は見てみぬふりをするのがエチケットだ。 |
何とこの多様なことか。人間が必死に考え問題を克服するその姿を、一体何者が笑えよう。(2000/6)
お終い