夜の放鳥開始、つまり、洗濯ばさみでケージの開閉口を開けていくわけだが、その作業が終わった時に、背後で悲鳴と床に落ちる音が聞こえ、あわてて振り返ると、床でもがく桜文鳥がいて、あっと思って拾い上げ、それがフィンだと気付いた時には、息を引き取ってしまった。
呆然として、生き返らないものかと撫でさすってみたが、どうにもならず、しばらく茫然自失の態でいたかったのだが、1分もすると、「どうしよ!どうしよ!!どーしよ!!!」とこの青天の霹靂への対応を求める声が、脳内にこだまし始めた。
フィンは現在2羽のヒナを育てている。その心労に放鳥開始の興奮が加わり、さらに何らかの偶然が重なって心臓発作が起きて頓死したものと考えれば、ヒナなどナマモノとして放り捨ててもらいたかったくらいだが、それは結果論に過ぎぬ。ヒナ2羽を放置するわけにはいかないが、どうすれば良いのだ・・・。
夫のジョーは、ちょっとしたお手伝い程度にしか育雛に参加しない「ダメンズ」なので、このままではどうにもならない。元の親に帰すと、その親たちは6羽育てることになり、体力の消耗が心配になる。孵化していないカップルに押し付けても、どうにもならないどころか、捨てられてしまう危険性が高い。人工育雛したいところだが、孵化5日未満を育てる時間も準備もない。・・・となれば。
フィンの遺体を、古いフゴに収め、育雛箱の保温装置を立ち上げ、タロ・ジロの育雛で使用したフゴを取り出し、ツイカ・サンが育てている孵化14日目のヒナを移し、そこに、フィンが育てていた幼い2羽のヒナを移した。・・・これで育ててくれるだろうか?
はなはだ疑問だったが、ツイカはまるで気にせず巣の中に入った。サンは怪訝な顔でしばらくカゴの外をウロウロしていたが、しばらくすると給餌を始めた様子であった。つまり、何とかなりそうな気配で、とりあえず安堵した。
さて、ずいぶん数奇な運命にあるらしいノビィとジミィの初仔の生き残り、『うる星やつら』の錯乱坊のような顔をした子は、手乗りとして育つことになった。本日の体重は22g。図太く生きてもらいたい。名前は、「サクランボウ」は長いので、「ラン坊」と呼ぼう。
コメント