都知事のまま院政を敷いては如何?

 小池都知事が衆議院選挙に出馬すれば、一年余で都政を投げ出すことになり無責任と非難される、などとマスコミは報道している。しかし、問題の本質は、国会法第39条により国会議員は他の公務員を兼職出来ないので、小池さんが、目出たく衆議院議員に復帰されたら、都知事を辞めざるを得ないことにある。
 官房長官その他が、「出ろ出ろ」言うのは、一匹狼で自分の後を託す後継候補がいないのを見透かし、都知事を自民党が推せる人物にすげ替える好機と考えているからに相違あるまい。まったく意地汚い考えではあるが、小池さんが都知事でなくなれば、都議会の政治素人集団「グリーングリーンクラブ」など、選挙を待たずともテキトーに個別に篭絡するだけで雲散霧消するに相違なく、そうした挑発もしたくなるものと思う。

 さて、残念?なことに、国会議員でなければ総理大臣にはなれないので、出馬しない限り小池さんは国政に参画できない。だが、盲点は多々あって、個々の『常識』『良識』に頼らざるを得ないのが法律である。例えば、参議院議員が総理大臣になって解散権を振り回せば、手に負えない独裁者となる危険性がある。したがって、『常識』『良識』として、代議士たる衆議院議員より国家の代表を選ぶのだが、あろうことか、立法府の構成員でありながらそれを理解せず、平然と参議院議員を総理大臣に推すお目出たい人間が多い(小池さんにしても、首班指名で公明党代表の山口さんを推す発言をしていた。山口さんがどれほど立派な人でも、残念なことに参議院議員なのに、その点無頓着と言うか無定見である。軽々しい思い付き発言だったが、これにより、公明党は総選挙後に「グリーングリーンクラブ」が自民党と保守合同して、公明党は与党の座から追われる危険を察知したようだ。その後の公明党は、反小池に急旋回してしまった。おそらく都政にも大きく影響するだろう。小池さんはご自分の権謀術数を過大評価しない方が良い)。
 参議院議員の総理大臣就任が憲政の常道として有り得ないことさえわきまえないような人は、おそらく知るはずもあるまい。国会議員は公務の兼職を禁じられているが、都知事と国務大臣との兼務を禁じる法律は存在しないことを。つまり、「神輿は軽い方が良い」とされるように、無能なイエスマンを総理大臣として、都知事の身分のままに閣内にもぐりこみ院政を敷くことは、次の選挙のことを考えなければ、法律上可能なのである。​そのような裏道の危険性をわきまえず、「出ろ出ろ」言うのは、よほどマヌケではないかと思えてしまう。

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