考えてもわからないものはわからない

「東北、関東、北信越、静岡、愛知の人」とか、中心点から東北全部を含ませてコンパスで円を描いたら西は愛知までだった、程度の認識では、地理の成績はゼロだったに相違なく、むしろ地理の勉強などしたことがないのではないかと疑いを持たれる。もちろん日本列島は真っ平ではなく、むしろ標高の高い脊梁山脈が中央を走っており、太平洋側と日本海側の移動は雨雲でさえ遮られる。もちろん季節により風向きも異なり、子細に見ればその時々で異なる。高山で仕切られているよりも、間が海洋であればその方が風に乗っていろいろなものが運ばれる可能性が大きいのは、当たり前で、白地図の同心円、つまりは陸地の直線距離でしかものを測れない人の妄想世界のように単純ではない。東北でも太平洋沿岸地域から奥羽山脈の西へ上空をたゆたっていくのは難しく、基本的には、北東風に乗って関東へ南下するか、南西風に乗って東北太平洋沿岸を北上するしかなく、関東まで達した場合、なぜか東海道を西進して箱根の山にあたる理由はないので、たいていは相模灘に抜けるだけである。つまり、海風の影響で東海地方に吹き戻される可能性はあるにせよ、「北信越」を加えている時点で落第、むしろ、なぜ中越でなく北信なのか、およそ理解不能と言える。

 そんなことはどうでも良い。
 100パーセント末っ子では無いオリがなぜ死んでしまったのか、考えているのである。こうした際、まず間違いなく結論は「わからない」なので、他人には考えても仕方がないと言うことにしているのだが、それを承知した上でなら、考えねばならないのである。
 ↑の折れ線グラフは、ウチの文鳥たちがヒナの頃の体重の変遷を示している。逸脱したパターンは2例。ひとつはお店で購入した際に17gだったノブが、右肩上がりに増加していくパターン。もう一つが、突然墜落するように体重が低下している今回のオリのパターン。
 突然の変化を引き起こした要因は何だろう?感染症とすれば、親鳥からの感染か、外部のヒナ「ナイ」からの水平感染だが、一緒に育っているヒナには症状がなく、前例から考えても水平感染の可能性は低いと思われる。
 成鳥で不可逆的に悪化して何も食べずに死んでしまうケースを考えると、そうした親鳥からヒナへ感染し、症状が現れない日和見感染があるとの仮定も有り得るが、兄弟姉妹で別々とすれば、むしろ遺伝的要因かもしれない。このような信じがたい劇的な体重低下を引き起こす遺伝子があり、それが劣性であれば、兄弟姉妹でも発症の可能性を持つのは4分の1だけとなる。例えばαが健常な有性因子、βが病因となる劣性因子とすれば、ともにβ因子を持つ親でなければ、この病気になる子は生まれず、もしβ因子を持つ親同士であっても、組み合わせはαα、αβ、βα、ββの4通りで、ββになる可能性4分の1でしかない。しかも、ββでも成鳥まで発病しない個体が多ければ、人為的淘汰を受けにくい。
 などなどと考え、とりあえず遺伝要因説に落ち着いたのだが、やはり「わからない」。
 と、無駄に頭を使っている飼い主とは無関係に、ヒナたちは順調に成長している。キイは25gで、今日初飛行し、高いところに行ってしまい、降りられずに固まっていた。ミトも25gで、羽をばたつかせやる気満々であった。そうした騒々しい兄(姉)貴分にはさまれつつ「ナイ」は相変わらずよく食べて、24gとなった。
 あまり考えず、とりあえずヒナたちの様子に注目するのが、正解だろうと思う。

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