インフルエンザは無関係

水浴びするクリ子さん
 こやつ、なぜに正面顔でにらみながら水浴びしているのだろうか?
 それはさておき、「鳥インフル 対応に追われる動物園」というNHKの記事を見かけた。動物園も大変だが、ところで、文鳥などがオブジェを彩った美術展で、靴底消毒を励行したことに対し、理屈のない過剰な処置でミスリードになるといった内容の批判をしたはずだが、覚えておられるであろうか(記事を探してリンクすると古傷つつくことになりそうなので控える)。それは、NHKの報道にもあるような鳥インフルエンザ流行時の処置を、平常時に必要なほど、文鳥類への接触は危険を伴うといった誤解を与えかねないとの危惧からであった。
 安易に連想してしまうのが一般的な感覚で、過剰な対応は誤解を再生産していくことにもなり、言われないレッテルを貼られることにもなってしまう(放射能による偏見も似ている)。愛鳥家は慎重にならなければならないと思う。まず、しっかり認識すべきは、鳥インフルエンザにおける来場者への靴底消毒の必要性は、鳥インフルエンザの園内への持ち込みを防ぐための対策、つまり、一義的には、外部から来場する人間が、鳥への感染を広めないようにするためのものである点だ。何しろ、何とはなしに、鳥の病気を外に持ち出さないためのもの、園内の鳥から人間である自分に感染させられないための処置のように受け取られるのが世の常で、それがため、飼鳥を危険視するような誤解に発展しかねず、そうした際に、正しい知識を持って、しっかり否定できるように心構えを持ちたいものだと思う。
 「日本ではこれまで鳥から人に感染した報告はない。通常の生活をしていれば国内で人に感染することはほとんどないと考えていい」と、専門家がおっしゃっているように、気にせず何もしなくても、鳥から人へ感染る可能性はゼロに等しい。そもそもが、名称に「鳥」がくっついている限り鳥にのみ問題を起こす感染症に過ぎず、人間が我が身の心配をするのはお門違いなのである。これが、万一にも「鳥」が取れたら、人間に感染する新型のインフルエンザに変異したことを意味するのだが、そのような変異の可能性として、養鶏業などで蔓延し、人間など哺乳類のインフルエンザとの接触が頻繁になるような環境が疑られるので、鳥インフルエンザ段階で、早め早めの防除が必要になり、ニワトリやアヒルにはかわいそうなことになってしまうだけである。一般の生活者は、鳥インフルエンザそのものの危険にさらされることはないので、過剰な不安は無意味だ。
 一方、我々文鳥の飼い主にとっては、野鳥のインフルエンザを、我が家に持ち込む危険性を感じる人がいるかもしれない。それも、可能性が無いわけではないが、ほぼゼロと言える。本来が水鳥の病気で、スズメ目に感染すること自体が稀と思われ、かなり高密度の接触がなければ(つまり鳥インフルエンザが高濃度に存在する環境に居続けない限り)、感染自体有り得ないと見なすのが妥当だからである。靴底に奇跡的に鳥インフルエンザになった野鳥の糞がくっついていたところで、玄関で靴を脱ぐ日本の社会では、わざわざ靴底を玄関で消毒しなくても、すでに防疫となっているのである。
 なお、人のインフルエンザに罹患した飼い主が、自分の文鳥に感染すのではないかと心配することがあるが、これも杞憂だ。人のインフルエンザは、通常、文鳥に感染らないので、接触を完全にやめたり、他の家に預けるほどの対策は必要ない。熱っぽくボッーとしている時の放鳥は危険なので短時間にするとか、普通の「咳エチケット」を文鳥に対しても適用するとか、その程度で問題ないので、もしインフルエンザになってしまったら、余計な心配をせずに、文鳥のためにも、安静にして早く回復していただければと思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました