同じでも同じにならない

　子供が犯罪者となれば、育て方に問題があったと親は責められる。しかし、親として育て方が悪かったから悪さをするとは限らない。何しろ、人という生き物は、同じように育てても、同じようにはならないではないか？生まれながらに持った性質が人それぞれなので、傍から見れば実に立派に育児をしていたとしても、その子がまっとうに育つとは限らないのである。非常に危うい性質を感じ取り、それに合わせながら、それでも社会に迷惑がかからない人格に導く。それは至難の業だ。
　昨今の女優さんの息子の場合は、親の育て方より、酒癖が悪いのと『酒乱』を混同した結果だろう。『酒乱』は病気で、酒を断つ以外の対処はないのだが、得てして常識の範囲で判断し、酒癖が悪いだけだと見過ごしてしまう。しかし、酒を飲んで人格が豹変したり、犯罪行為をするような者は、酒が覚せい剤のように作用していると見なすべきで、他人のため本人のため、飲んでも飲ませてもいけない人なのである。このような『酒乱』にせよ、常識の枠など超えた個性は、それなりにありふれているので、自他共に気をつけたいものだと思う。

　と、文鳥を育てていても、よくわかる。どうしてこうも同じに育たないのだ！つまり、数十グラムの手のひらサイズのくせに、文鳥は侮れない存在で、常識の枠など超えた個性は、それなりにありふれているわけである。
　飼育書だとかマニュアルのようなものは、常識の枠で記述されるはずなので、そればかりを読んで、自分の文鳥の行動を判断しようとすると、混乱することになる。「どうして違うの？」と悩む。しかし、それだけ強烈な個性の持ち主だと気づけただけでも、マニュアルを勉強した成果はあり、それだけの効果しかないと、まず理解すべきだと思う。もし、個性的な子を、マニュアルに合わせようとすれば、その子には合わない飼育をしてしまい、結局、望まない成長の仕方をしてしまうことになる。
　違ったら違ったで良い。違いを楽しむ余裕を心がけたいものだと思う。