文鳥にソラマメ中毒ありやなしや

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白いお邪魔虫にうんざりしているソウ・テイ
 そら豆のスプラウト(若芽)が商品化されているそうで、検索すると、『そらまめ豆苗』として2014年から販売されていた(生産元のページ)。「豆苗」とあるので、えんどう豆のスプラウトである豆苗と同類と考えるのは自然な話で、実際文鳥に与えてみたところ、嘔吐し体調を悪化させてしまった、との体験談があった。そこで、考えてみたのだが、結局、危険とも安全とも判断がつかなかった。
 そら豆は、太古から人間に食されるものだが、グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症という遺伝病、むしろ遺伝的特質を持った人たちに強い毒性を持ち、赤血球が溶血し、溶血性貧血を起こし、最悪の場合は、急性腎不全によって死に至ることにもなり、これをソラマメ中毒、と言うのだそうだ。
 私が気になった点は、文鳥にグルコース-6-リン酸脱水素酵素が欠損しているのか、と、若芽の状態になっても、豆の状態と同じ毒性を持つか否かで、少し調べた程度では、管見の及ばざるところ、だったのである。ただ、ゆでたそら豆なら、文鳥に与えた人は数多くいるはずだが(私もあるかもしれない)、それで急性の毒性が顕われた事例を聞いたことがない(人間にしても、鎌倉の居酒屋でそら豆をたらふく食べつつ飲んでも、別に問題なくここでブログを書いているわけで、ソラマメに一般的な毒性があるとは言えない)。
 となれば、ソラマメの種実が含む成分(配糖体)に起因するソラマメ中毒とは別に、人間にとっては問題なくとも文鳥にとっては毒性を持つ物質を、そら豆のスプラウトは持っているのであろうか?それとも、中毒症状に見える症状の原因は、別にあったのであろうか?
 これは、そら豆のスプラウトを文鳥に与えた人の体験を複数勘案しない限り、判断は無理かと思う。しかし、危うきには近づかず、自分の文鳥で実験するわけにはいかないので、ごくわずかな事故による経験の蓄積を待たねばならないかと思う。ただ、せっかくの疑い事例なので、無駄にしないように、この目新しい食べ物を文鳥に与えるのは、とりあえず避けるのが無難だとは思う。 
 
 
 【以下は12日補足】 
 
 そら豆のスプラウトには、L-DOPAを多く含むとされ、L-DOPAとは「レボドパ」と呼ばれ、ドーパミンなどの神経伝達物質の基になる物質と言う。そら豆のスプラウトの切り口が黒くなるのは、これの作用によるものとされているが、これによる急性症状は、考えにくいと思う。文鳥の体内にもある成分なので、拒絶反応が起きるとは思えないのである。また、鉄分が多いそうなので、鉄分の過剰摂取による症状では?との指摘を頂いたが、錆び付いた鉄釘をかじっても、急性の毒性を示すことは無いはずで、鉄分補充の薬剤で不自然な摂取をしない限りは、なかなか問題にはなりにくいように思える。
 普通の食中毒には潜伏期間があり、一般的なイメージと異なり、食べてすぐに嘔吐するなどの拒絶反応は起きない。細菌などに由来するので、それが体内で増殖するのに時間がかかるのである。
 急性の反応が出るのは、毒キノコなどの摂取で見られる化学物質の毒性作用に多いものと思う。例えば、クサウラベニタケを誤って食べた場合、10分~数時間で嘔吐などの消化器系中毒反応が起き、その主因は「溶血性タンパク」とされている(厚生労働省のページ)。もちろん文系なので詳しいことは知らないのだが、「溶血」=ヤバイ、というごく単純な関連付けが頭にあると、ソラマメ中毒が酵素の一種が欠損しているタイプの人間に起きる溶血反応と、文鳥の事例が結びつくことになる。
 しかし、普通に考えれば、そら豆のスプラウトは、健康に良さそうな成分を多く含む青菜に相違なく、豆の状態で含む成分を、そのまま引き継がれるものではないし、そもそも、茹でたそら豆は文鳥のおやつとしている人も多く、それは毒性がないか、無視できるレベルに軽微なために、可能なはずである。となれば、今回の件がそら豆のスプラウトを食べた結果であると仮定しても、多くの謎が残される。
 
 googleで「文鳥 そら豆」で検索すると、そら豆スプラウトを見ている白文鳥君の画像があり、それは「脱原発!」「反安倍政権!」を掲げて頑張っている方が、昨年3月にツイッターで公開された画像だったが、食べさせて異常が起きていないようだ。
 さらに「文鳥 そらまめ 豆苗」で画像検索すると、昨年5月に試された方のブログがあり、少しかじっただけで食べなかったらしくその後は不明だが、特に体調の変化はなかったようだ。また、今年の3月に文鳥に与えた方のブログもあり、こちらは普通に食べてくれたようで、何ら問題はなかったようだ。ついでに、文鳥の部分をインコ置き換えて検索すると、セキセイ君とオカメ君がワシワシ食べている画像があり、何ら問題とはなっていない。
 となれば、一般的には、文鳥に与えても問題ないと判断する他ないように思える。健康に良さそうな野菜が市販されていれば、少なくとも人間には無害(常識的な量を食べる限り)なので、それを文鳥に試したくなるのは当然と言える。しかし、初物を試す場合は、結果的に実験動物にならないように慎重であらねばならず、なぜそれが無害と信じられるに至ったか、しっかり情報を整理した上であるべきだと、思う。求めるべき情報は、科学的な情報と経験で、文鳥が食べる事例と、常用しても問題が起きている気配がないか、に注目しなければならない。
 今回のケースでは、もし私がその立場でも、特に与えることでの有害性は見い出せず、与えた可能性が高い。そして、結果、どうなったかはわからない。「
食べた当日、男の子は激しい嘔吐、女の子は黒色」の糞、翌日オスは回復したが、メスは悪化して3日目には亡くなってしまう。亡くなった子は、虚弱な体質だったそうなので、悪影響が強く出てしまったのだろうが、なぜ、平気で食べている事例があるのに、こうした文鳥にとって急性の毒性が疑われる事案が起きたのであろうか?
 人間のソラマメ中毒が遺伝的特性により発症するのと同様に、同じ文鳥でも、症状が現れる子と問題にならない子がいるのであろうか?
 とりあえず貴重な疑い例なので、なるべくは避け、与える場合は、様子を見ながら慎重に、が正解だと思う。 

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