カナリアシードが好まれる理由

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カナリアシードを食べるタネ
 
 マスゾエさんは、責任の取り方も公私混同で一貫しているので、笑ってしまう。どうして私有財産である別荘を売却して売却益を得ることが、公に対する責任を果たすことになるのか?倫理どころか論理もわきまえぬ、不思議な人である。頭を丸めて蟄居するしかないのに、その絶好の場所を売ってしまわれては、後で困るだろうに。
 それはさて置き、昨日来の基礎的な整理。
 文鳥は穀物をクチバシで挟んで加重し、外殻を取り除いた後に、中身を噛み砕かずそのまま飲み込む。これは、本能としてプログラミングされた動作なので、ペレットのような比較的柔らかなエサにも、自然とその動作を行い、結果として噛み砕いてしまうことになる。
 丸呑みしたエサは、そのうで水分を含ませた後、前胃に送られ、そこで今度を消化液を含ませてから、筋胃(砂嚢・砂肝)に送られる。筋胃は収縮して食べ物を「咀嚼」するが、その際、筋胃に蓄えられた鉱物類が歯の役割をする。硬いものが入っている中で攪拌され、削られ細かく砕かれていくイメージで良いかと思うが、その結果、消化しやすいペースト状となって腸に送られる。
 筋胃で歯の役割を果たす鉱物類は、胃石とも呼ばれ、より大型の鳥類では、まさしく小石を本能的に飲み込むようだが、小鳥では、その大きさに比例して砂粒状の微細なものが、胃石の役割を担うことになる。そして、文鳥などの飼鳥においては、ボレー粉や塩土が筋胃に貯留して、食べ物を磨り潰す助けになるものと思われる。
 しかし、ペレットのみの食生活の場合、前胃を通過した段階で、すでに消化吸収の良い状態になっているはずなので、筋胃での「咀嚼」は不必要となる。これは、不自然には相違ないが、良し悪しの断定は不可能に思われる。確かに、筋胃の働きを弱めることになるはずで、それが他にも生理的な悪影響を及ぼす可能性もあると思われるが、一方で体への負担は減らすことになり、マイナス面以上に健康にプラスに働くかもしれない。ただ、筋胃での収縮活動が少なくなれば、それだけエネルギーの消費が抑えられるので、その食生活に慣れ、ペレットを好んで食べるようになれば、栄養過多で肥満を引き起こすことは有り得そうだ(そうした疑いのある事例は仄聞する)。
 文鳥の飼い主に「売れない」ペレットの問題を抱え、以上のように頭の中を整理していたら、案外、カナリアシードの嗜好性へと、思考が飛んでしまった。ご存知のように、文鳥にはカナリアシード好きが多いが、これは味より食感、クチバシで殻がむける際の感触に魅力があるからだ、と唐突に気づいたのである。
 考えてみれば、カナリアシードの味や栄養だけが、文鳥を惹きつけるのであれば、むきカナリアシードも好物になるはずだが、実際には、殻が無いだけで特別関心を示さなくなる(経験則)。また、市販のむきエサの配合飼料では、カナリアシードのみ殻付きのままなことが多いが、他では殻むき本能が満たされないので、カナリアシードを選り好む以外になくなった結果のように思われる。もし、味や栄養でカナリアシードが選ばれるのであれば、文鳥用のペレットの嗜好性を高めるのも簡単で、カナリアシードを主原料にすれば良いだけのはずだが、大豆とトウモロコシの余剰があふれる国ではない日本において、すでにカナリアシードを原材料に含むペレットが製造されているにも関わらず(NPF『プロバード』)、「文鳥まっしぐら!」の評判を残念なことに聞かない。
 文鳥は本能的に捕食の際の殻むき行為を欲していて、カナリアシードの外殻をクチバシでむく時の感触こそ、文鳥にとって、他の穀類に比して心地良いに相違あるまい。文鳥は、殻むき行為を目当てに、つまり殻むき本能のゆえに、カナリアシードを選んでいるのに、栄養や味の違いにばかり注目したのは、誤りだったようだ。カナリアシードの魅力は、殻むき本能の充足に有り、これを私の結論としたい。
 
 いちおうペレットに話を戻せば、それを噛み砕けない程度に硬くすれば、むきエサと同様になり、アワ玉の卵黄などのように、外面に何らかの嗜好性が高いものを付着させ、丸呑みする際に味覚で魅力を感じさせねばなるまい。逆に噛み砕ける程度であれば、殻付きエサの殻がむかれて捨てられるように、ある程度のロスは避けがたい。いずれにせよ、殻むき本能を十分に満たすことは出来ないので、殻付きのカナリアシードの魅力には、遠く及ぶまい。
 結局、ペレットに対して否定的な結論になってしまうのは、残念ながら、2000年からあまり変わらないようだ(『文鳥問題』)。基本的には、文鳥でのペレット使用は特別な必要性のある場合に限られ、一般化は難しいだろう。せっかく、黒瀬ペットフードさんが、文鳥専用のペレットを開発してくれたのに・・・。

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