ペレットは文鳥に不向き

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殻むき大好きな皆さん 
 
 十数年前、インコ飼育と混同した理屈により、文鳥にもペレットを薦める人が、見受けられるようになった際、本来の食性に近い自然の食べ物を用意できる文鳥に、わざわざ人工のペレットを与える必要はない、と指摘した。しかし、私はナチュラリストめいたこだわりを持たないので、加工品でも何でも、そのほうが良ければそれを取り入れるのに躊躇はしないし、それなりに利点が有り、今後改良され利用価値は増すと思っていた。
 そして幾星霜、現在は、ペレットも商品として売る立場なので、売れずに在庫が滞ってしまえば困ってしまう。従って、それなりに普及してもらいたいとの願望を持っているのだが・・・、ダメだな。実際。ペレット使用者が比率として増える傾向はまったく見受けられず、新たに発売されたものを試される方はいても、それを継続して使用する人は極めて少ない。
 
 ペレットは嗜好性が低いので、切り替えの際は苦労するとの話は、インコでも聞く話だが、文鳥の場合それが極端に思われる。それは、なぜなのであろうか?私は、そもそも練り餌を固形化して乾燥させたようなものでは、文鳥には軟らかすぎて、味以前に食感で魅力を感じないのではないか、と思っている。
 何しろ文鳥のクチバシは、「フィンチ」と呼ばれる飼鳥の中でも分厚く大きい。これは、大きめの穀物や種子の殻を割って食べるのに適した形状であり、実際、ライスバードの別名があるように、お米の殻(殻のついた状態が籾【モミ】)をクチバシで器用にむいて、中身をそのまま飲み込んでしまうのが、本来の文鳥なのである。つまり、文鳥としての本能は、硬い殻をむく、ことを欲していて、ペレットではその欲求に応えられない。ペレットを食べる際も、丸呑みにはせず、本能による殻むき動作で、ボロボロと割れて半ば散乱することにもなってしまい、非効率なことにもなる。
 ペレットは、まず例外なしに文鳥の主食である雑穀よりもカロリーなど栄養価が高いのだが、ペレットを食べて痩せることがあり、「ダイエット」を痩せる効果と誤解しそうだが、栄養価は高いのに痩せるのは、食べる量が減るからと考えるのが妥当で、つまり、食欲が低下してしまうものと思われる。嗜好性云々よりも、殻をむく行為が充足されず、それにより食欲が抑制され、体重も低下するような結果を招くとなれば、それは不健全と言う他ない。
 
 味でなく硬度・形状となれば、解決は難しいだろう。二重構造にして外側を硬くコーティングすることは可能でも、需要が限定的では、商売になるまい。 
 もし、インコ類のように、硬い木などをかじって遊ぶような、代替行為があればまだしも良いはずだが、殻をむく行為の代替となりうる遊びを、文鳥に提供するのは・・・、現在のところ不可能ではなかろうか。となれば、穀物の供給が不安定の度を増し、余裕のある穀物などで作った加工飼料に頼らなければならないことにならない限り、文鳥の飼育では、配合飼料の利用が圧倒的な状態が続くかと思われる。それは、やむを得ないところだろう。 

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