「ハゲチョロケ」は雅な響き

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ゆっくりヒナ換羽中のノブちゃん
 
 関東地方で、「ハゲチョロケ」は聞かないように思う。特に、東京でも下町とされる密集地とかいろいろ入り込んでる港町の横浜とかは、話し方が他地域の人が聞けば喧嘩しているがごとき早口なので、「ハゲチョロケ」と悠長に言っている暇はあるまい(「何言ってやがるんでぇバカ野郎!」を「てやんでぇバーロー!」と短縮するのが江戸っ子。「いーじゃん」「そーじゃん」「ちがーじゃん」と肯定も否定もジャンジャンと自分の意思を他人に押し付けてくるのが浜っ子)。
 つまり、私の場合は、周囲から聞いたわけではなく、たぶんどこかで得た情報から何となく語感が気に入って個人的に使っているだけかと思う。念のため辞書で調べると、「ハゲチョロ」と同じとされ、「塗料などがところどころはげていること。織物・毛皮などがところどころすり減っていること。また,頭髪がところどころ薄くなっていること」とあり、地域的は、京言葉、京都弁と見なしているケースが散見された。たしかに、京言葉には入りやすいように思う。
 一方の「ハゲチャビン」には、大阪の方言という説があるようで、そう言われれば、上方落語で登場しそうな語感のようではある。一般的な説明としては、ハゲ頭の様子が茶瓶みたいだから、となっている。しかし、髪関連でビンと言えば「鬢」で、禿げた鬢、が変化しただけのように、何となく今考えた。
 鬢は「耳ぎわの髪。また、頭髪の左右側面の部分」の意味とされているが、今でも相撲取りの髷(まげ)を結う際に用いる鬢付け油、のように、頭髪全体も意味するので(江戸時代の男は頭頂部を剃った月代【サカヤキ】頭が一般的)、禿げれば、禿げた鬢と表現するのが当たり前で、それが、ハゲタビン→ハゲチャッタビン→ハゲチャビンとなったと類推したほうが、唐突に茶瓶を持ち出すよりわかりやすいではないか。
 なお、「ハゲチョロケ」の「チョロ」は「チョロリ」の略で、少ないとか短いとか小さいの意と見なせば、「ケ」も、実は毛で、チョロ毛だけでも、禿げを意味することになるかもしれぬ。このように、次々とテキトーに自説を弄り出すのは容易い。
 
 ノブちゃんは、「鬢」(ほっぺたの辺りと勝手に決め付ける)が薄くなっているだけで、ハゲチョロケてはいない。天使は天使らしく、美しく生え変わっていただきたい。
 ・・・もっとも、最近、鈴に喧嘩を売るなど、江戸っ子風味の片鱗が見えている。 

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