産地の違い?

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推定孵化28日目のノブちゃん
 
 今日もノブちゃんは、飛ばないものの、よく鳴きよく動き健康そうなフンをして食欲旺盛、結果、体重は増加して23gとなった。 
 
 さて、そのノブは、愛知県産ということになっている。おそらくは、弥富市の文鳥繁殖農家の出身かと思われる。つまり、由緒正しい弥富系白文鳥のはずで、それを望む人も多いのではなかろうか。しかし、私はそれを特に望んでおらず、むしろ、より幼少のヒナを望んでおり、その点では、他地方産の方が都合が良かった。違いはあるのか?現在は、あまり無いかもしれないが、昔は違った事実を把握していたのである。 
 情報元は、1983年刊行の『畜産全書』で、それによれば、1970~1980年頃の愛知県の生産農家は、「孵化後20日前後のもの」を出荷しているが、一方、当時は新興の静岡県の生産農家は、「12~15日齢で出荷できる」とし、それはその地域が「自然環境が小鳥の成長に最も適しておりその状況を生かした飼育を実施している」ためで、具体的には「青菜の不断給与が可能である」から、としているのである。
 もちろん、環境が良いから、成長が5割増になるなど、まず以て有り得ず、身びいきから生じる思い込みに相違ないが、2016年に生きている私は、こうした大昔の伝統を引いて、愛知県産のヒナの方が、成長した状態で入荷し、静岡県産のヒナの方が、より未熟な状態で入荷する傾向があるはず、と見ている。
 では、なぜに異なっていたのか、と言えば、弥富の方が、流通が円滑でない昔から、他の地方に発送していたため(おそらく貨物列車)、羽毛が開いてモコモコになる程度まで成長させないと、運搬途中で斃死してしまう危険性が高かったからだろうと、推測している。もちろん、それほどに育つまで、親鳥に育雛を委せているはずはない。繁殖農家としては、親鳥による育雛期間を短縮し、次の産卵を早めるため、孵化10日を過ぎて集団人工給餌が比較的に容易になった頃には、巣から回収したはずで、その後一週間以上は、人工給餌して育てているものと思われる。
 つまり、孵化12日目くらいに巣から回収したヒナを、「愛知県」では(昭和初期の流通インフラの下での)運搬に耐えられる程度に人工的に育ててから出荷するのに対し、「静岡県」は、ある程度、成長度合いを調整する程度で、(1960年代の高度経済成長により流通インフラ【高速道路】がある程度整い、卸先に時間をかけずに届くようになったため)巣から回収した後に日をおかずに、出荷していたのだと思う。
 このように類推したら、次に、どちらが望ましいか、を考えねばなるまい。まず、「静岡式」の方が、生産者の負担は少ないのは、明らかと言えよう。人工給餌の手間が、数日分少ないのだから、かなりの違いと言える。続いて、親鳥の健康への影響を考えると、これはどちらも孵化10日くらいで回収して、次の産卵を促す点で共通するはずなので、完全に同等。さらに、どちらがヒナにとって負担にならないかを基準に考えれば、確かに運搬時の負担は成長している方が少なくて済みそうだが、生産農家の給餌期間が長いのも、失礼ながら、あまり感心できないので、一長一短だと思える。
 購入する飼い主の立場で考えれば、「愛知県」のヒナは、人工給餌に慣れており、人工給餌のもとで育ち「検品」をパスしている安心感がある。一方で、「静岡県」の方が、「手垢」がついていない、つまりは、余計な習慣などを身につけていない魅力があるのではなかろうか。従って、初心者は「愛知県」がより無難かもしれないが、私は初心者ではないので「静岡県」の方が良かったのである。しかし、たまたま入荷していたのは「愛知県」の方で、覆いを除けば口を開ける、人工給餌慣れしたヒナだった、わけだ。
 望み通りにはいかず、あまり選り好みは出来ないが、結果、「運命の出会い」で、すくすく成長してくれているのだから、結局は、何でも良いのだ、と思う。

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