図に乗ってる奴

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豆苗を盗み食うサカ坊
 
 我が家生まれの文鳥を「ウチの子」、ペットショップから迎え入れた文鳥を「ヨソの子」と、区別している。もちろん、待遇に差別はないが、「ヨソの子」がその同待遇の環境に適応できるかは、それぞれで異なってしまう。不幸にして、我が家に適応しづらい文鳥もいるので、その場合、別人に購入してもらっていれば良かったのではないか、と後悔することにもなる。 
 逆に、「ウチの子」よりも我が家の環境に順応し謳歌する者もいて、その最たる事例が↑である。サカ坊こそは、我が家以外に行けば、不幸な一生になったに相違ない、と確信できる空前の「ヨソの子」なのだ。
 もともとはメス嫌いの同性愛、それも年寄りが好きという変態という他ない性癖の持ち主なので、他の文鳥たちに慣れ親しむことが難しかったし、感心できない家庭で育ったらしく、手乗りだったのだが、人間の食べ物に興味を持つし、噛むしつつくししつこいし、で、よほど文鳥の扱いに慣れていなければ持て余すはずの文鳥であった。第一、何より好きなのは、人間の口笛なので、それが得意でなければ、彼に満足を与えるのは難しいわけで、そのような妙な器用さは、誰もが持ち合わせるものではあるまい。
  口笛は、飼い主の襟元にピンマイクのごとくしがみついて聞けるし、奇抜な容姿の文鳥(コンドル化したごま塩文鳥故ケコ)に魅力を感じることで、異性への愛に目覚めたし、後妻も娶って子孫を残すし、これらは、我が家以外で実現させられることは、世界中でもまず有り得ず、このような諸条件が揃う環境に、こんな変な文鳥がやってくるなど、奇跡でしかない。
 つまり、ペットショップで同居メス(タネ)に邪険にされ、換羽中でみすぼらしく、店員にメスと思われていた
彼は、我が家に来たことを神に感謝し、口笛の師匠である飼い主には遠慮すべきだなのである。ところが、実際は、カゴ掃除中の飼い主の目の前で、収穫前の豆苗をむしろうなどと、「ウチの子」でもしないことを、平然とやってのけるのだから、不埒という他ない。困ったものである。 

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