羽を抜くのは治療行為

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切られてるジョー
 
 小鳥を診る獣医さんの中に、ペットショップで切られてしまった翼の羽(風切羽)を抜きたがらない人が、稀に存在している。これは、症例が少なく(羽を抜くのは、爪切りより簡単なので、普通は獣医に頼まず飼い主自身が行う。したがって、獣医さんはそのオーダーを受けることがない)、早い話が未経験で怖いだけだが、飼い主に対して本当のことは言えないため、血が出るとか痛がるとか、デタラメの御託を並べてくれるようだ。
 さて、そうした獣医さんは、いったい飛べない文鳥を、何だと思っているだろう?正常だと思っているのだろうか?
 羽を切るクリッピングには、飛翔能力を落として事故を防ぐものと、逃がさないために飛翔能力を奪ってしまうものの2種類あり、もちろん、ペットショップが行うクリッピングが、飛翔能力を奪って、店から逃げないようにするのを目的にしている。したがって、風切羽を先端からバッサリ切ったり、片翼だけ切ってバランスを崩すような切り方をしている。それでも、ペットショップでは、カゴの中から出られないので、飛べなくても不自由はないが、家庭で室内放鳥をする機会に恵まれたら、不便以上に落下などの危険に直面することになる。
 この危険な異常状態から、正常な飛べる状態に「治す」には、切られた羽を抜いて、正常な羽が生えてくるのを待つのが、確実で早い適切な処置だ。この点、御託など入り込む要素があるだろうか?いったいそうした獣医さんは、手術すれば治るのに、切ったら血が出るとか痛い、などと言いだすのだろうか?
 もちろん実際は、血が出る可能性などほぼゼロで(成長した羽は角質化して血が通っていない)、 痛みについても、どの程度か残念ながら実感としては分からないが、経験上、羽を抜いたために警戒され寄り付かれなくなったことは無いので、少なくとも爪切りより影響は軽微である(文鳥の場合。他の鳥種については知らない)。
 無知により、ご家庭でできる程度の容易な治療を放棄しないように願いたいものだ。
 
 画像のジョーは、お店で羽を切られることはなく、我が家で飛翔能力を落とすクリッピングを受けている。これは、最も外側の風切羽を残し、1枚おきに片翼3枚ずつ切るといったものだ。これまた、未経験の妄想で、少しでも切ったら飛べなくなって「かわいそう」などと 決め付けてくれる人がいるものだが、実際は、飛翔スピードが落ちるだけで、慣れれば、リビングを縦横無尽に飛び回るのに支障はない。むしろ切らずにおくと、飛翔したことがないペットショップ出身の文鳥は、目標も定めず直線的に飛んで壁に激突するようなことにもなる。想像が得意なら、切らない方が「かわいそう」なことになるケースも、考えたほうが良いだろう。
 ジョーは、間の抜けた翼から空気が抜けて、バサバサやかましい音をさせつつ飛び回っている。すでに飛翔技術は向上しているので、切った羽を抜いて、万全に戻そうかと思ったのだが、少々無茶をする傾向があるので(フィンを求めてウロチョロと・・・)、抜くのは10秒で出来るが、このままにしておこうと思う。

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