江戸っ子だったらしい

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父にはあまり似なかったクリ
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シナモン嫌いのシナモン文鳥ニッキ 
 
  人の記憶はいい加減なもので、前後の経緯はあまり覚えておらず、一瞬の場面だけ残っていたりする。キュー様とニッキの馴れ初め?については、キュー様が尋ねに来た時の顔つきと飛んでいった後ろ姿が、鮮烈ながら、何となく脳裏にあるわけである。
 そこで、2010年、やたら葬送の多かった当時の記事を確認したら(直後にキュー様の父ヤッチが急死しているのだが、そういったことは適当に風化して忘れている)、このようになっていた。
 「夜。いつものように放鳥。半ばを過ぎた頃、ニッキが妙な行動をとっているのに気づく。宿敵の白文鳥シンの留守宅をのぞきこんでいるのだ。さらによく見ると、その留守宅のつぼ巣をキューが乗っ取って雄たけびを上げていた。そして、キューが、その子供じみた行為に飽きて出てくると、ニッキも追いかけて飛んでくる。・・・これは、と思い、腕に止まったキューに、「あの色のすすけた目の赤い娘が、オマエさんのこと好きらしいぞ」とけしかけ、ほれほれとニッキのいる方向にキューの目が向くようにしてみた。
 さて、偶然なのか、天才だけに飼い主の言っていることを完璧に理解してしまったのか、数分後には、一緒につぼ巣に入って仲良く毛づくろいまでし始めたのだから、驚くではないか。」
 3週間ほど前、若い女房に先立たれてしまったキュー様は、新しい相方探しを始めていたが、当初、シナモン文鳥は対象外となっていた。どうやら、自分とは違う生き物とみなしていたようだ。従って、自分の先祖や子孫の桜文鳥たちにちょっかいを出していたが、他鳥の留守宅のツボ巣に侵入するような行動についての書き込みがあるので、今にして思えば、ガールハントよりも、卵を得たい一心だった気配が濃厚だ。
 一方のニッキは、当時、独り身で、オスたちに対して「営業」するものの、便利な浮気相手くらいにしか扱われていなかった。キュー様には無視されていたのだが、遅ればせながら、この日、何やら不可思議な行動をしているキュー様が、独り身になっていることに気づき、積極的に接近していったものと思われる。キュー様の後を、積極的につきまとい始めたわけだ。
 見知ってはいるものの、赤目の金髪でがたいの良い変な小鳥が、突如として追いかけてくるのだから、キュー様としては戸惑ったに相違ない。で、困ったら親しい人に相談する。この場合、「ダチ公」の飼い主の下にやって来るわけだ。具体的には、わざわざ二の腕に止まって、飼い主の顔を横顔で見上げるのだが、これを「何ですかい?奴あ?」と言っているものと察してやらねば、それは友達がいが無いというものだろう。しかも、もともとニッキと一緒にする腹積もりだったので、ニッキのいる方向に、キューを乗せた腕を動かしつつ、「あの色のすすけた目の赤い娘が、オマエさんのこと好きらしいぞ」と教えてやったわけだ。
 それに対してキュー様は、「あ~そうかい。そういうことかい」とばかりにニッキの方へ飛んで行き、あっという間にカップルが成立してしまう。「お前さん、娘だってなぁ。気がつかなかったぜい。ところで、卵は産めるかい?」と、人間ならセクハラでしかないことを、言ってのけたのに相違あるまい。
 人語を解したキュー様は、江戸っ子だったのか?それは永遠の謎である。

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