卓上の欣喜雀躍

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トウモロコシに雀躍する文鳥諸君
 
 浅葱色と言うのは、もともとは薄い藍染だったはずで、色あせた藍色とも見なせるかと思う。江戸時代の侍が切腹する際は、この色の裃(かみしも)を着用するのが正装とされていて、新選組は、覚悟の程を示すためか、主君の切腹に始まり赤穂浪士たちの切腹に終わる忠臣蔵の影響なのか、不吉とも言えるこの色を、わざわざ用いたとする説もあるようだ。
 ・・・ヨーロッパの強豪クラブで、チームメイトは皆ライバル、連携は友情より自分の価値を上げるために利用しているだけ、といった厳しい世界で揉まれている選手が増えれば、日本的な『和』の精神にもたれた甘えを打ち崩せるかと、期待したのは、さほど無理はなかったのではなかろうか。ただ、日本的文化は柔軟かつ強靭で、個々人の突出を包み込んでしまうのかもしれない。「つばさく~ん」「みさきく~ん」などと仲良しコンビではなく、「お前にこのパスが受けれるかよ!」「その程度なんでもねーよ!!」という、皆が皆、味方に対してまで敵愾心満々という恐るべき外道な状況は、日本代表となると作り出せない。
 チームメイトが得点したら、俺も!とそれまで以上にボールを追いかけずにはいられない。自分の実力いっぱいのプレーに付いてこれないチームメイトなど、紙くずほどの価値も見出さず、足でまといとしてしか扱わない。こうした、実社会では問題のある態度を、代表に選ばれた選手が、ピッチでは堂々と貫けるようにするには、日本のサッカー環境は軟弱に過ぎるのかもしれない。・・・とりあえず、渋谷でハイタッチしているような人たちには、もれなく放水車の洗礼を浴びせかけてみたら、緊張感が増して良いのかもしれないなぁ、と何となく思った。
 ワールドカップのピッチ上で、藍色なり浅葱色の日本代表選手が、欣喜雀躍する姿を見るのは、実に難しいものかと思えるが、欣喜雀躍する姿なら、目の前にあった。テーブルの上にゆでたトウモロコシを置いて、室内放鳥タイムを始めれば、自ずからそうなるのである。
 結果を早く求めたい人は、サッカー観戦より、文鳥観察をお勧めしたい。

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