老衰と思われるサク
サクは、飛ぶのも難しく、血色が薄く、何となく痩せ、さらに老衰が激しくなっているように感じるのだが、それ以前と比較するなら、さほど変わらないとも言える。換羽でなければ、明日亡くなっていても不思議はない状態と感じているが、何もしないのが正解だろう。
さて、一昨日の関連でエサの話。
文鳥の配合エサに含まれるカナリアシードという穀物には、昔から栄養が豊かで肥満の原因になるという伝説がある。科学的な根拠(エビデンス)は無いのだが、なぜか医学的な知識ではエビデンスを尊重する獣医さんの中にも、この伝説を信じている人がいるようだが、完全な誤りと言わねばならない。
あまり食べさせる機会が少ない文鳥ほど、カナリアシードを好んで探して食べることが多いので、それが多くの文鳥の嗜好にあった食べ物であることは確かだが、それは栄養価が高いからではない。そのエビデンスとしては、市販の飼料の栄養成分表を挙げるだけで十分だろう。
例えば、近喜商事によれば、カロリー量を増大させる脂質は、ヒエ4.8%、アワ3.8%、キビ3.8%に対し、カナリアシードは、それ以下の3.5%となっている。一方、ナチュラルペペットフード社は、カナリアシードの脂質を4.8%以上としているが、これは同社のヒエの値と同じである。
アワやキビより多少脂質を多く含んだとしても、1%の微差に過ぎず、そのような違いは、誤差範囲と見なすべきだろう。つまり、普通の配合飼料に含まれる、ヒエ、アワ、キビ、カナリアシードは、カロリー的には似たり寄ったりで(カロリー量は同量では、含まれる脂質の多寡で左右される)、そのいずれかを増減することで、痩せるとか太るとか断言するのは、はなはだ科学的ではないのである。
思い込みだけで栄養を語りたがる非科学的な人の浮説を信じ込んでしまった飼い主は、カナリアシードを制限しようとするので、かえってそれを食べたいという欲求を増大させ、それが存在するうちにそればかり食べる習慣を身につけさせてしまい、かえって過食を招いてしまっていることもあるように思える。それなりにエビデンスがある話なので、思い込みを排除して考えたいものである。
なお、脂質が高い飼料は、穀物とは呼ばれず、種実などと呼ばれ、前述の飼料会社が載せるところの脂質のデータでは、麻の実25.6(NPF27.9)%、エゴマ37.9(43.4)%、ナタネ41.0(20.8)%が、それに該当する。いずれも、穀物に比して一ケタ違い、10倍程度の脂質含有率であり、その分カロリーも高くなる。
しかも、その数値は、同じ種類でも2~20程度も偏差があり、検出方法やサンプルの産地その他で変動することを示唆している(他の調査も探せばあるが、みな違う)。
こうした事実から、自然の食べ物はいろいろ変動があって均質ではないので、いろいろ食べてバランスを摂るのが、生き物として当たり前な在り方だ、といった当たり前な結論を導き出すしかないと思う。つまり、ドッグフードとか鳥用ペレットのような人工的に均質な栄養状態にした食餌は、良いか悪いかは別にして、不自然なのは間違いない。逆に言えば、ある程度偏差があっても問題がないので、メーカーごとに内容が均質でない人工フードを、テキトーにコロコロ変えても、栄養的な問題が生じる可能性は低く、むしろひとつのメーカーの判断に委ねるより、いろいろ併用したほうが良いのではないか、と私には思えてしまう。・・・メーカーは推奨しないだろうけど。
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