寝ぼけ眼のアラ
この長々と続けている主に文鳥飼育の公開日記を見てもわかるように、我が家では、歴代々孵化16日目に引き継ぐことにしている。なぜそうなのか、それ以後だと、日増しに人間に対する警戒感が増してしまうからである。
つまり、なるべく長く親鳥に育雛させようとすると、16日目が無難という経験則を持っているのである。もし、孵化数制限をせず5羽も6羽も孵化したら、親鳥の体力を考えて、もっと早く引き継がねばならないが、飼育数をセーブしなければならない我が家の場合、卵段階で管理し、孵化数はたいてい1羽なので、親鳥の育雛も余裕があるのだ。
高校の生物の教科書にも載っているインプリンティング(刷り込み)という科学的知識を、まじめに学校で勉強しただけだと、開眼する前に文鳥のヒナを親元から離さねばならないと信じてしまうかもしれない。しかし、インプリンティングとしてよく知られる話は、孵化まもなく自力で立ち上がり、親鳥の後ろに従って移動する水鳥に関するもので、赤剥けのイモムシ状態で生まれてくる文鳥のような小鳥とはまったく事情が異なる。文鳥の場合は、孵化11、12日目に開眼しても、親を認識する段階にいたらず、ゆっくりと視力などの感覚が鋭くなっていくので、孵化16日目に親鳥から引き継いでも、まだインプリンティングが起きる前で問題ないのである。
ヒナを繁殖して売るような人たち、昔は巣引き屋と言われ、今は繁殖家と言われることの多い人たちには、孵化10日目くらいに親鳥からヒナを取り上げてしまうことが多いようだが、これはインプリンティングを意識して、開眼の前にそのようにしているわけではない。繁殖に用いる親鳥の体力の消耗を抑え、次の繁殖になるべく早く移行させるのだけが目的である。それを勘違いされては困る。
一般家庭で、自分の育てた親鳥の産卵・育雛を見て、ヒナを引き継ぐような場合は、ヒナを多く孵化させる必要はなく、親鳥の健康を第一に考え、さらにヒナの健康も考えねばならないはずだ。となると、孵化数を1~3羽程度に制限し、その分、ギリギリまで親鳥に育雛してもらうのが最善だと、私は信じているわけである。
と言うことで、明日は引き継ぎ。しっかり育てないといけない。
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