正面から視界を覆う

 緩衝材というと、こんな↓感じでしょうか。
 この場合キュー様の気まぐれダイブを予想しているわけですが、あの場合は、麻酔銃を使用している時点で、真下への落下を予想していないので、緩衝材を期待するのは無理だと思います。
 撃たれて真下に落ちるのは、繰り返し書きたくないのですが「落鳥」で、心停止していると見なすべきなのです。あの場合、動物園は薬剤の効果で、酩酊なり朦朧なりフラフラ飛び降りるだろう、くらいの認識で撃ったはずで、そういった誤解がなければ、あのような捕獲作戦は出来ないでしょうね。
 下に緩衝材などを用意するとしたら、まずそれをしても鳥が逃げない状態、つまり、かなり衰弱している状態で、何かに絡めて落とすような、捕獲行動をとる場合に限られるかと思います。その場合、最も恐れるべきは、頚椎の損傷なので、緩衝材が絶対的に必要になるはずです(今回の場合は、頚椎を損傷する以前に、撃たれた瞬間に真っ逆さまの落下です)。

 ではどうすりゃ良かったんだ、についてはすでに書いたが、早い話がほっとけば良かったのである。普段飼育している者だけが声を出して名前を呼んでやれば、周囲をうろついている頭の良いベニコンゴウインコが、ゾウガメと一緒という飼育場に降り立たない理由を考える方が難しい(テレビカメラのスタッフまで混じって大騒ぎの「捕獲大作戦」?アホか、と)。
 それでも、何かに怯えて樹上を動かず、時間の経過で衰弱が見て取れたら、せっかく高所作業車があるので、布なり網なりをスクリーーン状に広げ、インコの正面から視界を覆うように迫って、手取りにするなり、下に追い落とすなり(弱っている時に、落ちながら上昇に転じるのは困難なので、滑空して着地する可能性が高いと思う)、そのままかぶせられるようなら、巻きつけるようにして緩衝材を敷いた地面に落とすなりした方が、麻酔銃を打ち込むどころか、吹き矢で注射する以上に、生存確率は高かったと思われる。

 『正面から視界を覆うように』、は、文鳥の捕獲でも同じである。ベニコンゴウインコの40分の1ほどの大きさの我が文鳥諸君の素早さたるや、目が回るくらいのものだが、疲労して息が上がった時に、正面から覆いかぶさるように迫ると、それだけで観念して動かなくなる(本能的に諦める)。余力があっても、正面を塞がれ逃亡に一瞬の迷いが生まれるので、その隙をついて捕獲することが出来る(猫並の素早さが必要なので、口の中で「俺様はネコニャー!」とでも唱えると良い)。 
 視界を塞ぐこと、飛び立つコースを抑えてしまうこと、大小を問わず、鳥捕獲の際の重要な心得だと、私は経験上も当然のことと思っているのだが(セミを昆虫網で捕まえるのも、そんな感じだったはず)、偉いのか偉そうなのか、そういった人が監修したマニュアル本は無いのだろうか。無いのなら、捕獲で苦労した動物園の飼育員さんなり園長さんなり、せっかく改正「動物愛護法」が施行されたので、環境省のお役人が、頑張って作ってくれたら、無茶苦茶な麻酔銃の使用も止めることが出来、悲劇も少なくなるはずなのに、と、無責任に思うのであった。

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