テイのかかと落とし?がサカ坊に炸裂
千葉市動物公園の件をひきずっている。あの映像で「落鳥(らくちょう)」という、あまり使いたくない言葉が目の前をよぎっていった。
突然死は人間にもありうることだが、おそらく鳥にはより多発し、心停止して、止まっている場所から真っ逆さまに落ちてしまう現象が生じる。これが、落鳥。心臓が止まり、息を吸い込むことが出来ず、苦しみを吐き出す断末魔の叫びを残すことがある。生理現象に近いので、印象ほどに苦しんではいないのかもしれないが、目の当たりにすると、かなり精神的にこたえる。
千葉市動物公園のアレは、捕獲作業開始時から麻酔銃を使用しており、撃ちやすい場所に移動させようとしたらしく、木を揺するなどして追い立て、執拗に射撃を試みている。しかも、マスコミの取材を受け、カメラ撮影をさせているように、それが当然の捕獲活動として信じて疑っていない。なぜ命中したのに失敗に終わったのか、不運だったとでも思っているのではあるまいか?
おそらく、千葉市動物公園は、麻酔銃を魔法の杖とでも思い込んでおり、どのような距離で撃っても、どの部位に当たっても、一定の麻酔効果を発揮し、撃たれた鳥は酩酊状態となり、フラフラと滑空着地したところを、やすやすと捕獲出来るとでも想像していたのだろう。まさに、薔薇色の結末だが、それで園長などがテレビカメラの前で「ドヤ顔」出来た可能性は、どのくらいあっただろうか?私は、限りなくゼロに近かったと思う。
動物公園の飼育員も獣医師も、専門家なのに、高確率に存在する危険性に気づかないものか、と驚く人もいるはずだ。しかし・・・そういうもの、むしろ、そもそも専門家がいなかったと考えるしかないし、知らなくとも不思議はないのである。飼育員は、別に動物行動学の学位を取得している必要はないので、自主的に一所懸命勉強しなければ、ただのエサ係に過ぎず、ペットショップの店員より無知な可能性がある。また、鳥についてさほど知識を持っていない獣医さんなどザラであり、むしろ知識のある人の方が希少だ。まして麻酔銃の扱いなど、よほど熟練した人の教えを受けず、我流で無茶苦茶であっても、別に法律で罰せられることもない。
今回のアレは、無謀なことを無謀とも思わずにやらかしたものと、私は断定しているが、そうであれば、無謀と認識していなかったこと自体に問題がある。動物園の、それも公立のそれの飼育員、まして獣医が、知らないでは済まない程度の、基礎知識が欠如していたとしか思えないのだ。何しろ彼らは「国及び地方公共団体」の一員として、一般人に、動物の「習性を考慮して適正に取り扱」い、それの「普及啓発を図」らねばならない立場なのである(カッコ内は「動物愛護法」の文言)。ところが、実際は、「動物愛護法」で特に戒めている「動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめること」を、テレビカメラの前で思い切り演じてしまったのだ。度し難いとしか言いようがあるまい・・・。
話が逸れた。
捕獲するに際しては、脅かさないように静かにし、知らない者を近づけず、鳥の気持ちを落ち着かせなければならない。知らない場所では落ち着かず、知らない人がいれば警戒し、知らない物音を聞けば萎縮したり、逃げ出してしまう。
当然、文鳥も同じ。引っ越せば落ち着かず、獣医さんを警戒し、サイレン音にも萎縮し、飼い主が大声を上げれば逃げてしまうだろう。
落ち着かせること、環境をフラットに保つこと、これが飼い主の最大のテーマだが、なかなか難しい。とりあえず、今後も、安心して水浴びが出来るように、心がけねばなるまい。
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