メール便の信書

 商売上の都合で、長らくヤマト運輸のクロネコメール便を利用しています。このサービスは、大きさがA4サイズ以下で厚みが2センチ未満と薄いものなら、均一の料金で発送できるので、商品の送付に利用している事業者も多いです。
 しかしながら、ヤマト運輸にとってはリスクが多く利潤は少ないようで、サービス開始の当初より配達が遅くなったり(翌日→翌々日)、大きさ制限が厳しくなったり(B4サイズの廃止)、サービス内容は低下する一方です。個人的には、ヤマトさんはメール便を止められた方が良いのではないかと思っているのですが、お客様の要望もあるので、サービスが存続する以上利用するしかない立場にあります。

 このサービスでは、発送の際に出荷票を集荷担当者に渡さねばならず、そこには品名を書いて信書を含まない旨の確認として署名しなければなりません。署名は、もともと必要なかったのですが、信書の送付に利用した人がいて問題となったため、2011年にコチラのお知らせとともに(ネット上に告知しているだけで、利用者の私に特に通知はなかった)、変更となりました。
 私の場合、この署名欄には苗字しか書かなかったのですが、昨日、集荷に来たドライバー氏から、名前も書くように言われました。普通なら、その程度のことは従うだけでしょうが、メール便についてのこの間の経緯を苦々しく思っているので、それほど厳密にしたければ、客側の面倒を増やすような要求をするよりも、捺印するだけで済むように氏名を印字した出荷票を作成してくるように言いました。確かに「署名」とは、厳密には氏名を書くことになりますが、これはヤマト運輸に対する単なる確認ですから、身元が明らかなら尚の事、本来サインで良いはずです。それを、営業所の責任者なのか誰なのか知りませんが、気にする人がいるようなので、「お客様ご自身で署名または記名捺印」と前掲の案内にある以上、捺印だけで済ませるようにしていただきたいと、要求したわけです。
 このような小理屈は、それ以前に家人がフルネームでの署名を求められた聞いて、下調べしていたので言えることです。調べておかなければ、言われる通りに従うしかないはずです。今後、運送会社側の担当者が誤解して、また、何を言い出すか知れたものではありませんから、改めて出荷票の信書について小さく書かれた文章を読みました。すると、それは奇妙なものでした。

▼信書はお取り扱いできません。
信書の送達は、郵便の場合および信書便法に基づく信書便事業者による場合を除いて、禁じられています。上記に違反して信書の送達を委託した場合、その運送事業者および信書の送達を委託した荷送人は、郵便法第4条違反となり、罰則が適用される可能性があります。
【主な信書の例】請求書、納品書、手紙、はがき

 これでは、送付する商品の納品書なり請求書も、同封していないと宣誓していたことになりかねません。しかし、信書であっても、送付する商品についての納品書は、法律上同封を認められており、そういった認識の下で、通常は(小さな注意書きなど読まずに)商品の発送に利用されているはずです。実際、郵便法第4条第3項では、「運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。ただし、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでないとされています。問題は「送り状や添え状」とは何を指すかになりそうですが、この点について総務省は、「信書に該当する文書に関する指針」Q&A集にご親切にも例示されていて、「貨物の授受又は代金に関する簡単な通信文」の例として、「納品書」「請求書」が図示されています。
 つまり、物の説明文としての納品書は、信書であっても同封が認められ、一方、貨物とは無関係な納品書の類は認められないのです。信書であるかないかではなく、貨物と関係しているか否かが問題、となりますが、この出荷票の文言だけでは、そのようなことがわからず、貨物に関する納品書や請求書も同封できないと誤解されてしまうように思われます。そこで、まったく気はすすみませんでしたが、黙ってブログであげつらうのも何なので、数時間前にフリーダイヤルでヤマト運輸のオペレーター氏に、貨物に関するものは問題ない旨、付記されたらいかがですか、と意見具申をしておきました。

 このような小さな文字の注意書きは、普通は気にせず、郵便法など、一般人の関知するところではありませんが、生真面目な人が一所懸命文字面を追って、誤解をしてしまうようなことがないように、気をつけて頂きたいと思います。

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