ミョーぐれる

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「暗黒面」に堕ちた悪ミョー

 ミョーは改まらなかった。
 朝、カゴの上など狭いところに逃げ込み(追っかけていないが勝手に逃げる)、放っておいても自主帰宅する様子もないので、やむなく細長いプラスチックの板でかき出し、追い掛け回して疲労を待って捕獲。さらに先端の羽を1センチほど切って、自覚を促すべく放すと、それでもかなり普通に飛び回ってしまう。また、追う者追われる者お互いにくたびれながら捕まえ、今度は完全に先端の羽を切る。ところが、やはり驚異の飛翔能力で普通に飛び回り、疲労困憊の挙句、テレビ前に降りたところを、間合いを取りつつ、ゆっくりゆっくり優しげに語りかけたが、手が見えれば飛んで行ってしまう。心臓が爆発しないかと冷や冷やしつつ捕獲して帰宅させた。
 ・・・この反応、手に対する恐怖心や、飼い主に対する不審の目は、放し飼い状態で育ててしまったマセたちのそれだ。・・・なぜ、突発的にそうなったのか、よほど神経質で思い込みが激しい性格なのだろう。もしかしたら、ミョーがヒナ3羽の上に乗るなどイジメをする際に、軽く手ではたく家の者がいたので、それも一因の可能性はあるが、これはミョーの自業自得であり、それで豹変はしないだろう。
 人間でも、何らかつまずきや心配事があった時、そのことばかり思いつめ、何もかもネガティブな方向に思考の悪循環を始め、久しぶりに会ったら、顔色から精気を失ってどんよりと面変りして、軽く驚くことがあるが(「暗黒面に堕ちたな」と思うわけである。たんに生活疲れの可能性も多少ある)、そういったことは、文鳥にも有り得るのだ。・・・文鳥は高度に精神的な生き物だなぁ。
 午前中の水交換・青菜設置時に、放鳥する前に翼最先端の切り残しの羽を抜いた。これなら、2、3週間後に生えてくる。その間の更生を願ったのだが、それでも彼は十分に飛べた。翼羽の先端6枚が、【1抜・2切・3残・4切・5残・6切】となっていても、飼い主に衝突死を危惧させるほどの飛翔能力を発揮するのだ。やはり、マセ並み、全部切ってもなお飛べるウルトラ飛翔力の持ち主と見なせよう。とりあえず、5枚目を抜いてさらに推進力を奪い、それでも鏡に衝突するなどして逃げ飛ぶミョーを捕獲し、息も絶え絶えの様子の彼を左手に持って、なでつつ、しばらく優しく説諭してから(おとなしくして逃げようとしない)、カゴに帰す。
 もちろん、説諭で改まるなら、初めからグレない。したがって、しばらくは日中の禁足ならぬ禁翔処分にして様子を見ようと思う。夜の放鳥時は、さすがに暴翔出来なくなり、エサを食べに2度ほどテーブルに降りただけで、あとは飼い主を避けていた。放鳥時間終了時は、動きが鈍くなっているのを幸い、照明を消して捕獲(ミョーは「ギャー!」と鳴き叫ぶタイプ。我が家では、まったく鳴かないタイプが主流)、逃げ惑う暇も与えず、まっ先にカゴへ帰した。おかげで、実に平和であった。
 元の気の良いミョーに戻るのか。それとも神経質な偏屈文鳥になっていくのか。いずれにせよ見ものである(最近見ない「神経質な偏屈文鳥」タイプが出現するのも悪くない)。ぐれる(=正しい道をふみはずす。不良化する)のは良いが、へたに飛び回らせて、やさぐれる(=家出する。宿無しの状態でふらふらする)ことのないように気をつけたい。

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