右がソウで奥がテイ手前で顔だけ出しているのがガイだと思う
3羽は24日目。体重はオール25グラム。実に粒ぞろいだが、性格の違いはやはり顕著だ。もぞもぞと動き回るようになり、さらに自己主張が激しくなってきた。早く飛び回り、悪ミョーと対決してもらいたいものだ。
牡蠣殻の成分表を見かけたので(『鳥羽かき殻石灰しおさい』)、ボレー粉について思いつくことを書き留めておく。
成分の92.6%は炭酸カルシウムとなっているが、この炭酸カルシウムが酸と反応して分解することで酸性を中和させるので、土壌改良剤とされる。つまり、酸性土壌や酸性雨やその他酸性のものと出逢えば溶ける。一方、酸性でない状態のところでは溶けずにそのままの形状を維持することになる。例えば遺跡の貝塚は、古代人が捨てた貝殻が、物を酸化させてしまう酸性土壌を中和してくれるため、いろいろな遺物が形状を残した状態で発見されることになる。土壌などが酸性でなければ溶けずに貝塚のように残るため、必要以上に分解して土壌全体をアルカリ性に傾ける可能性は低い。よって、扱いやすい中和剤であり、さらに微量ミネラルが植物の成長にも効果があるとされる(酸性土壌を好む植物には禁忌)。
生き物の胃には消化のための液体が分泌されていて(胃液・消化液)、それは塩酸を含む酸性なので、ボレー粉はそこで中和反応を起こして溶ける。文鳥の場合、胃は2つあり、胃液が分泌されるのが前胃で、続いてもみ潰す役割を筋胃が担っている。文鳥には咀嚼する歯がないので、多くのエサは丸のみ状態となり、そのままでは腸で消化しにくいため、筋胃が必要となってくるわけだが、その筋胃に硬いものがあると、食べ物をすり潰しやすくなる。したがって、鳥類には砂など消化できない鉱物類を飲み込み、消化の助けとする。筋胃が別名砂嚢(砂を貯める袋の意)と呼ばれるのはそのためで、ニワトリでは砂肝とも呼ばれて食用部位だが、激しく収縮活動をするので、筋肉の塊のようなものになっている。
文鳥などの小鳥も、本来は筋胃に砂礫を貯める必要があり、そのための飼料として塩土がある。しかし、比較的に柔らかで均質な飼料を食べる飼い鳥には、砂礫を貯留させる必要性は薄いともされ、塩土はむしろ、飼い鳥では不足してしまう塩分やミネラル類の補給に役立つものとする考え方もある。
私は、ボレー粉を与えていれば(食べる機会があれば)、塩土は必要ないと考えている。ボレー粉はミネラルが豊富で(鳥羽の成分表に塩分【ナトリウム】の記載はないが、当然含んでいる)、砂礫の役割も果たすと思っているのだ。これについては、前胃で溶けてしまい役に立たないと考える人もいるが、胃液は強酸ではないので、貝殻を即座に溶かすのは不可能だろう。例えば、酸性雨が降ったとしても、外に置きっぱなしにした貝殻を一日で消滅させることはあるまい。卵殻に比してキチン質で覆われる貝殻は硬く、消化しにくいはずである。従って、筋胃で砂礫の役目を果たしつつ、徐々に溶けて吸収されるか微粒となって排泄される、と考えるのが自然だと思う。
ボレー粉は、文鳥にとって、普段は食べるものではなく、少量舐める程度のものだが、微粒子であっても、台所洗剤のクレンザーの目に見えないザラザラ粒子が汚れを落とすように、筋胃でのすり潰し効果が期待されるのではなかろうか。通常のエサに混ぜて、気づかぬ内に少しでも摂取出来れば、それなりに消化の役に立つと思うのである。となれば、別置きして、古くなっても放置するより混ぜてしまい、自然とパウダー状になったものが、エサに付着して食べる程度でも良いだろう。飼料に混ぜておけば、飼料全体の湿気対策にもなる(当然ながら密閉保管必須)。
鳥の専門医を自称する獣医さんにも、栄養学について一般素人に毛が生えた程度の考察、むしろ一般的な常識が欠落した毛が抜けたような知識を、何やら得意気に振り回す人がいて、ボレー粉にカビが生えるなどと騒ぐ人が過去にいたようだ。これはおそらく、擦れてパウダー状になったものが付着していたに過ぎず、冷静さも科学性も欠いた素人の戯言レベルとしか言いようがない。湿気を吸着しやすいので、よほど不適切な保管状態なら、カビくらいは生えるだろうが、生えるにしても粉を吹くような生え方など有り得る訳があるまい。
そいった「困ったちゃん」の獣医さんには、ヨードの過剰摂取を薦めて、小鳥を危険にさらす人もいるが、成分表にあるようにボレー粉のような海産物はヨードを含んでおり、ppmなどという超微量でも存在すれば、健康な場合、十分な栄養素である。つまり、不安なら、飼料にボレー粉を混ぜて置く程度で良いだろう。
以上、ボレー粉は優れた副食飼料に相違あるまい。
※ 獣医さんは医療の専門家なので、栄養学の知識など所詮素人勉強の類で不思議はなく、当然、個別鳥種の飼育について詳しくないことも多い。飼育に必要な知識なら何でも、鳥専門を称する獣医さんなら熟知していると信じている飼い主もいるが、それは大きな間違いで、そのように期待されると、サービス精神が旺盛な場合、知ったか振りを始めたくなって、専門外で非常識を露呈することになってしまうことにもなる。
獣医さんでも知らないことがあって当たり前で、そもそも治療という専門領域の知識と技術を期待して、自分の文鳥を診せているはずなので、余計な部分の余計な発言や「指導」を、信じ込んだり、逆に反発して治療を拒否したりする必要はないのである。
「新鮮な指導」と思っても、自分で調べて自分の飼育に適しているか検討し、「おかしな指導」と思っても、聞き流す、そんな感じが、獣医さんとの正しい付き合い方だと思う。
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