手乗りの繁殖はむしろ容易

顔の大きな文鳥(アト)
ペアリングの可否は彼の態度次第

 だと思っている。その家の環境に慣れていて、飼い主とそれなりに信頼関係があるので、神経質にならずに済むからだ。
 ただし、それはその家で一緒に育つなり見知った手乗り文鳥同士の話で、1羽で育てられた手乗り文鳥や他で育った手乗り文鳥との間では、大難事業となる。繁殖以前に、ペアリングがうまくいかないのである。何しろ、文鳥を見ずに育てば自分が文鳥だとの自覚を持てるはずがないので、パッと現れた文鳥を恋愛対象と認めて夫婦になろうなどと考えるはずがないのだ(1羽飼育で、将来的に繁殖の可能性がある場合は、鏡で文鳥の姿を見慣れさせておいたほうが良い)。
 人間にフレンドリーで文鳥としての社会性を持つ手乗り文鳥が売っていることなど、まず絶無であり、それを望むのは無いものねだりになるだろう。従って、1羽飼育の手乗り文鳥の繁殖相手を探す場合、「人間にフレンドリーで」の部分に目をつぶるしかない。そして、仲が悪いのは、ほぼ確実に自分の愛鳥が文鳥としての社会性を欠如していることを理解して、間違っても「相性が悪い」などと寝言を言って、相手を取替えようなどとは考えないことだと思う。
 昔からの小鳥屋さんは、1羽飼育で自分のことを人間だと思っている文鳥が存在することについて、ほとんど認識を欠いているため、相性だけの問題と見なし、「お見合い」で判断しようなどと薦めるものだが、まるで見当はずれと言える。相手を自分と同じ種類の仲間だと認識していないのだから、A子もB子もみな変な生き物でしかない。相性以前の問題なのである。

 我が家の場合、毎晩集団で飛び回っているので、文鳥としての社会性に問題はなく、ビジュアル的に好みのタイプか否かが大きな問題となる(この点で問題を起こすのは、むしろ外部から来た手乗り文鳥。具体的にはケコやサカ坊)。性格的な相性など、その先のことで、実際のところでは、案外、大して気にせず、ペアになってしまえば、「鬼のふんどしを洗う」であり「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」であり、何となく仲良くし続けるのが普通だ(人間の夫婦と大して違わないと個人的には思っている。人間の場合、離婚の原因とされる「性格の不一致」など始めからのものなので、気づかないままにしようとする暗黙の努力を忘れただけで、文鳥夫婦の場合、努力しなくとも気づかないので楽なのだと思う)。つまり、アトとシキの場合、社会性は問題ないので、相性よりも前に、おもにビジュアル面がお互いの好みに合うかに、焦点が絞られよう。
 シキにとってアトは・・・、シキはお店ではイケメンぞろいの環境だった・・・。しかし、シキは「人間嫌い!文鳥大好き!」と、一日中、下階から聞こえる文鳥たちの鳴き声に反応して呼び鳴きを続ける文鳥なので、数日の孤独の後に会った文鳥に、それが大願であばたで白羽が多くても、好感を持つはずである。・・・否、この際、好感を持たねばならないのである!
 となれば、アトが優しく迎えれば一丁上がりのはずだ。アトがわがままを言わないように祈ろう。

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