【参考】畜産全書より

ヒナ換羽中の若文鳥(ニチィ)
ヒナ換羽も終盤に入ったニチィ

 ここまでヒナ換羽が進んでいながら、ぐぜりに気づかないとなると、・・・メスだったか?喜ばしいのだが・・・。

 さて、弥富系白文鳥の話の参考のため、1983年農文協編『畜産全書-飼育の基礎・実際家の飼育技術-(ヤギ・めん羊・ウサギ・家禽・実験動物・ミツバチ他)』のごく一部を抜粋しておく。
  まず、当時(執筆時1979年)に、弥富の生産農家(弥富文鳥組合の組合長)の経営実態を取材した内容の一部(P463)。

 白×白の組合せから生まれるひなは、白7、桜3の割合となり、白×桜は、白6、桜4となる。収入を考えると白×白としたいが、白は体質が弱いという欠点があるため、桜の血を混ぜる。試験場では「全部白×桜にしたほうがよい」と指導しているようだが、青木さんは収入を考え、白×白を300番いに、白×桜を150番いの割合としている。

  「試験場」、つまり、愛知県農業総合試験場の見解とは、同書のP447にあるのもので、「(弥富系の白文鳥同士の交配では、四分の一の確率で中止卵となるといった交配実験結果を示した上で)白文鳥に致死遺伝が関与していることから、生産地の飼育で経済的に有利な交配様式は孵化率がよく産子数の多い白×桜、桜×白の組合わせが、白×白の組合わせに比べてすぐれている」とするものである。

 これと、他のブログが昨年紹介された、最近の弥富の生産農家のご発言らしきもの、白と白をかけると、強い雛が生まれない。駄目なの。白と黒をかけた方がしっかりした雛が生まれる」を並べてみると、さて、すべて弥富の文鳥生産関係者の見解だが、どのように思われようか?
 それぞれ違ったことを言っているようにも受け取れるかもしれない。しかし、同じことだと私には思える。つまり、愛知県農業総合試験場が明らかにした、弥富の白文鳥の特質、白文鳥同士の繁殖では25パーセントの確率で致死遺伝が発現する、といった科学的な真実を、生産者サイドは理解し得ず、「白は体質が弱い」とか「強い雛が生まれない」といった経験に基づく解釈、それこそ紛れもない迷信から離れることが出来ずにいるだけだろう。弥富系の白文鳥には致死遺伝子が潜んでいるだけで、生まれ育った白文鳥に特別な虚弱体質 が存在するわけではないので、白文鳥を貶めかねない思い込みは、いい加減にご勘弁いただきたいものである。
 生産者の現今での発言の相違は、「経済的に有利」か否かにあると思う。シナモンもシルバーも存在しない30年以上昔は、桜より白文鳥の方が人気が高く、主要も大きかったので、白と桜を掛け合わせると、生まれたヒナの半分を占める桜の「在庫」がだぶついてしまう。結果、値崩れして儲からない。ところが品種が多様になった現在では、白と桜の価格も需給の相違もより小さくなっており、むしろ桜文鳥の方が人気がありそうな気配まである(弊サイトで放置中のアンケート調査によれば、562人中、桜文鳥派が262人【約48%】、白文鳥派が184人【約32%】となっている。「断然桜文鳥派」などと称している者のサイトなので、多少割り引いたほうが良いが、それでも互角程度と見られると考える。未だに残る多少の価格差は、習慣的なもので、売っている側が、消費動向を理解していないのではないかと思う)。従って半々で生まれても、桜文鳥の引き受け先に困らずに済むのではなかろうか。ようするに、良かれ悪かれ、農畜産業としての経済性である。
 「高い値段で売れる雛を育てることよりも、強くて元気な雛を育てること」の以前に、今現在の生産方式で経済的に許される範囲で、という前提がつくのは、趣味ではなく産業である限り当然だが、その前提部分が、大量消費感覚の人間以外には受け入れられなくなっているものと、私は思う。「フンムシ」などが普通に湧くような「生産」環境では(『畜産全書』P462の青木氏の話の中で、「とくにフンムシには気をつける。うっかりしていると発生し文鳥が血を吸われ元気がなくなる」とあるので、ワクモのことかと思われる)、繁殖して欲しくないと素朴に考える飼い主が増えおり、それは文鳥を家族同様に慈しむ育てている飼い主なら、当然そうであるべきだと思う。思うので、感心できない環境で「生産」することに批判的になるのも当然かと思っている(非難する気はない)。一方、訪問されて、現在の家庭での飼育なり家庭での生活とは別世界の、もしくは大時代から連綿と続いた「生産」の貴重なお話をお聞きした人は、どちらの感覚で文鳥たちと接しているのだろうか?不思議なことだと、思えてしまう。

 

 とにかく、「白文鳥は虚弱」などという迷信は、いい加減に勘弁してもらいたいのだが、我が家の白文鳥たちの調子が悪い。
 高齢疑惑濃厚のメイは、もはやいつあの世に旅立っても不思議はない衰え方をしている。さらに、今夜は、ミナに飛翔不良が見られた。これは換羽を前にした一時的現象かと思えるのだが、気がかりだ。

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