弥富産=弥富系とは限らない

麻ヒモをむしる文鳥(カエ)
麻ヒモと格闘する年齢不詳のカエ

 震災1年ですが、今日はあえて触れずに、日を改めて、にします。 

 以前にも何度か触れてきたが、文鳥の愛好者の一部に、愛知県の弥富市の文鳥生産農家から出荷された文鳥を、特別視する考え方は、意味のあるものとは思えない。白文鳥と桜文鳥を組み合わせても、中間のゴマ塩柄にならず、両親の一方に似て、つまり、白と桜の産み分けが生じる、もしくは、白文鳥同士でも、一定の割合で桜文鳥が生まれる弥富系の白文鳥は、珍重して良い存在だが、弥富産だからといって、弥富系の白文鳥である保証はないのだ。
 なぜなら、残念というより生産農家の立場で考えれば当然のことに、伝統的な血統を守るという観点はあまり持ち合わせていなかったので、畜産の品質向上のための品種改良の発想で、桜文鳥よりも高値であった白文鳥を多く産ませたいと考え、そのため台湾などの他系統の導入も積極的に行なっていたと考えられるからである。つまり、弥富産でも、弥富系の遺伝子を持ち合わせなくなっているものもあったはずで、それは外見では判断しにくいのである。
 弥富系の白文鳥がいなければ、桜文鳥も消滅し、原種色ばかりになると思い込んでいる人もいるが、それはおそらく違う。大雑把には、先祖に白文鳥がいれば、長らく白い差し毛が残る。つまり、差し毛が多い同士なら子も差し毛が多く残り、代を重ねて徐々に消えてしまえば、また白文鳥なり中間雑種のゴマ塩柄なりを導入すれば良い。実際、台湾産の桜文鳥も存在するが、しっかり白い差し毛が入っている。

 日本国内の製品は、人件費や物価の安い海外との価格競争には勝てないので、付加価値をつけるなどして高級品として生き残るしかない。その場合、「あこがれの弥富の白文鳥」が生まれるのが、昔ながらの畜産小屋では、ずいぶんな思い込みでもしていない限り、幻滅するのではなかろうか。残念ながら、農家での大量生産方式は、高級ブランドを生み出す環境にないのだ。
 従って、むしろ普通に衛生的な家庭で飼育していて、弥冨系の白文鳥に思い入れのある人が、『弥富系白文鳥保存会』でも結成して、高価に(と言ってもシルバー文鳥のヒナ並み程度だと思うが、例えば6,000円で売れるなら、文鳥生産農家が業者に出荷する際の価格の、軽く10倍以上である、畜産とブリーディングはまるで違う世界なのである)、売ると言うなり譲ると称するなりして、愛好者を増やしていけば良いものと思う。
 時代のニーズに合った形で、頑張っていただきたいと切に望んでいる。

 なぜ、こういった話になったかと言えば、一つは、先日そういった質問を受けたからだが、もう一つは、我が家の白文鳥メイの年齢を考えていたからであった。
 メイ、我が家に来て5年に満たないが、2年以上産卵せず、完全に老化現象を起こしている。そこで、おそらく副業的ブリーダー、昔の呼び方では『巣引き屋』の元で、数年繁殖に用いられてから、売りに出された文鳥と推測している。つまり、現在8歳にはなっている。
 「廃用」などと言うのも、近頃飼育を始めた人には、理解しにくいはずで、それが当然の世界の畜産業における生産活動にあこがれるというのは、毎度のことながら、私にはずいぶん不可思議に思えてならず、また、文鳥生産農家の話に結びついたのだ。
 が、まてよ。カエも1年以上小鳥屋さんで繁殖後に我が家に来て、やはり2年くらい前から産卵しなくなっている。・・・にしては元気だ。・・・個々の体質なのだろう。

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