事故によって放出されたと推定される放射性物質の総量は、一説に、チェルノブイリは広島型原爆の400倍(ウィキペディア。私の昔からのうろ覚えでは500倍なのですが、根拠を探すのが面倒なのでこちらを採用)、今回の事故は20倍で(東京大学アイソトープ総合センター長の児玉先生の国会証言「ウラン換算では20個分のものが漏出」[関連インタビュー記事])、その差は20倍です。
実際の空間放射線量については、チェルノブイリの場合、その周辺10km以内では毎時数百ミリレントゲン(mR/h)が記録されたようです(京大の研究論文)。しかし、現在の放射線測定の際に用いられるシーベルトとは単位が異なるので、単純に比較できません(私のような素人や軽率専門家モドキは比較しなければ良いのだと思うのですが・・・)。それでも、素人にだけ許される大雑把さで考えるなら、1レントゲンを0.1シーベルトと見なせると思います(おそらく桁が違うことはないといった程度の正確さ・・・)。100ミリレントゲンは0.1レントゲンですから、0.01シーベルト、これをマイクロシーベルトに直すとなると100万倍、100万倍?そう、ものすごい桁違いなわけですが、ともあれ当てはめると、100ミリレントゲンは1万マイクロシーベルトが、大雑把な目安になるかと思います。今回の事故発生当初、原子力発電所構内の空間線量は数百マイクロシーベルトに達しましたが(一部で1000を超える。東電の関連ページのモニタリングポスト参照)、チェルノブイリは数キロ離れた居住地域を10倍以上の放射線が襲ったと考えられそうです。実際、セシウム137の汚染度合いを見ても、7723Bq/kgが「ホットスポット」で検出された日本に対し、79000Bq/kg以上で移住が義務化されるチェルノブイリでは、汚染に10倍以上の開きがあったと想定されると思います。
汚染規模についても、同様の推定が可能かと思います。チェルノブイリの場合、1~5Ci/km2=37~185kBq/m2=1850~9250Bq/kgを「放射能管理強化ゾーン」としていますが(ウィキペディアにある汚染地図の1~15は1~5の間違いと思われる)、その面積は3万3160km2とされており(京大の論文)、一方の日本で1850ベクレルを超えるのは、検出ポイントで見れば飯館村と二本松市の一部のみですから、便利な早川さんの汚染地図なら空間線量が一時的に毎時4マイクロシーベルトを超えた地域程度と考えられます。また大雑把に見て、その地域は福島県全体の五分の一程度で、面積では2800平方キロメートル程度と考えられ、やはり10倍以上の開きがあると見なせるかと思います。
つまり、今回の原発事故は、細かな研究は専門家の先生が今後なされるでしょうか、素人の大雑把な感覚では、あらゆる面でチェルノブイリの十分の一以下です。十分の一以下でも十分すぎるほど重大な事故ですが、チェルノブイリと比べてしまえば、「大したことはない」と言われかねないことになってしまいます。
安易な比較をして、今回の事故を矮小化するようなことのないように気をつけ、逆に安易に同じ程度と見なした誤解をして、非常に大きな不安を、日本国内での比較としては、より汚染の大きい地域の人たちに与えないように、気を付けたいものです。
コメント