前回右側の地図の説明が不足していましたので補足します。
右側のセシウム濃度の単位は「Ci」キュリーになっていますが、1キュリーは3.7×10の10乗ベクレルなので、前回掲げたような数値となります(ネット上に流布しているのは換算後の数値)。こういったものは、単位を揃えねば比較できませんが、それを省くと印象論になり、途方もない誤解を招くことになるので注意が必要です。文系の私には、とてつもなく面倒ですね。
チェルノブイリ事故による放射性降下物の放出量は、広島型原爆の400倍と国際原子力機関 (IAEA)は推定しているらしく、一方今回の日本のそれは20倍と推定されているようですから、単純に考えれば20分の1です。20分の1なので安心出来るという問題ではないですが、ケタ違いのチェルノブイリとの単純な比較はできないのも明らかでしょう。
この汚染度をチェルノブイリの20分の1とするのは、ずいぶん大雑把な考えと言えるかと思いますが、汚染度の大きい地域のセシウム137の濃度を比べると、日本が7723Bq/kg、チェルノブイリが上下の中間値で132000Bq/kg、と、むしろ不思議なくらいに、1対20に近い数値となっていて、符合しています。つまり、日本の汚染はチェルノブイリの20分の1程度と言っても、排出量の推定のみではなく、前回の図の比較からも、実態に近く、日本の場合、汚染範囲が狭いばかりではなく、「薄い」と見なせるものと思います。
育ちが悪いこともあって疑い深い私は、より深刻な汚染になっているのではないかと、事故発生の当初に漠然と想像し、被害を受ける可能性の大きい地域の人たちに対して無感覚に過ぎる政府に腹を立て、3月下旬あたりからイライラし続けでした。しかも、あまり「危険!危険!」とか、まして「逃げろ!逃げろ!」などと言える根拠もなければ、まして、政府がそれを行わないのに騒げば、不安感を与えるのみで、さらに差別感情を与えるだけだと思っていました。
その後、何やらマスコミが「また汚染が見つかった!」といった調子で報道する事実により、それがほとんどチェルノブイリと比較にならない桁違いに軽微な汚染であることを証明するものばかりだったので、徐々に安心できるようになりました。五ヶ月以上も経過した今になって「ガァイガァー」化している人とは真逆に、徐々に安心できるようになったのです。事前に、少しは考えておいて慌てずに済んだといった感じです。
チェルノブイリと比較するなら、その差は現実として歴然とするばかりですが、チェルノブイリの図が「Unnamed zone」とする地域、もしくはそれより汚染度の低い地域では、どのように対応するべきか、これこそが日本政府や日本に住む我々自身の課題となっていると思います。つまり、未知の話です。参考になる事例はほとんどありません。未知ゆえに、あまり楽観もできませんが、全く的外れな比較をしても仕方がないことも確かだと思います。誰にもわからないことに、誰かが明確に答えてくれると期待しても、くたびれるだけです。
ましてや、専門外で見当違いな結論した専門外で学者をしている人や(素人同然ではなく、完全無欠のたんなる素人)、それ自体「厳しくしとけばいいや」程度の軽い気持ちで作られたとしか思えない事故以前の規制値を(国際的なものは尚更。新型インフルエンザの時の対応を見ていれば、ああしたものがどういったものかわかる)、なぜかその点だけ学者バカそのものの頑迷さで曲げず、正義漢ぶって喜んでいるようなおしゃべりな関連学問の学者らしい人物もいるかと思いますが(言っていることがすべて間違っているわけではない。正しい面が大きいほど始末に悪い心得違いもある。学者なら意見は学会で、一般人ならほかの人の生活に配慮するのが当たり前。どっちつかずは無責任なだけ)、そうした情報に踊らされるのも自己責任の自由民主主義社会ですから、行動のある人ほど、冷静に、他人の迷惑を考え、特に事故原発周辺域の住民の生活を脅かすようなことにならないように、よくよく考えて行動したいところです。
私は、何も出来ないので、被災された皆様や、同じ日本人とは思えない心無い人たちの産地差別に苦しめられている皆様の邪魔だけはしないように心がけ、今日も美味しくその産地のキュウリでも頂きます(今は事故原発の立地県産が旬らしいので。日本は産地ごとに競合しないように収穫時期をずらしていることは、小中学校の社会科で習いましたよね?)。
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