福島に疎外感を持たせないように

 岩手県陸前高田は、京都から見れば紀伊半島の突端からさらに沖合になってしまう180キロも、事故原発から離れているので、セシウムなどを心配する方がおかしい、と繰り返していると、より近いところはどうなのかとなってしまうと気になっていましたら、「福島支援シンポジウム」の記事を見かけましたので、紹介しておきます。

http://sankei.jp.msn.com/science/news/110815/scn11081507010000-n1.htm

 それほど健康を気遣い、どれほど長生きして、どれほどの事がなせると自分で思っているのか知りませんが、何をどう言っても、自分の健康ばかりを気にしてしまう人はいるものです。しかし、一個人が何をどのように疑おうとも、基準値内の食品は普通に出回りますし、実はより近い場所より、より遠い場所の産品の方が、多くの放射性物質を含んでいないなどと、誰にも言えないのが現実です(気にしすぎて、とっくに消えている放射性ヨウ素の緩和目的の薬などを輸入して飲めば、かえって体を損ねること間違いなしです)。
 産地にこだわる人が増えれば、産地偽装が必ず起きるでしょうし、目に見えぬ安全を求めて盲目な行動をするのは、結局、価格の上昇、選別された産地の困窮、偽装の横行を招きつつ、自己満足だけに終わる可能性が大きいようにも思われます。
 現在、許容される放射性物質の基準値が設定され、それの範囲内のものだけが市場に出回るようになっています。より近ければ近いほど、検査は厳重になりますから、基準がしっかり守られ、安全性がより高いと判断することも可能なくらいです。
 また、先にも触れましたが、県などという地域区分は、広域な災害では意味がありません。やたら「フクシマ、フクシマ」と強調されるので誤解が生じますが、福島県は阿武隈山地や奥羽山脈が南北に走り、県内を分断する形になっていますから、沿岸部の事故の影響は西には影響しにくいのが事実です。
 ボンクラな政府ではありますが、すでに立ち入り禁止区域なども設定され、注意深く放射能の影響を測り、さらにそれを軽減して復元していこうとする努力がなされていますし、その他の地域の土壌汚染もチェックされ、また基準値を超えた場合は出荷停止とする処置がとられてもいます。同じ沿岸部であっても、自己発生時の風向きなどの気象条件により、汚染の濃淡は顕著に存在し、安易に一市町村全体を危険と見なすことは出来ない事実も分かってきています。
 実に複雑で、一般人の我々が、どこそこの地域は危ないなどと、まして、県全体を差別するなど、とても出来るものではありません。わからない以上(専門的な報告を専門的に受けてもわからない)、専門機関にしっかりチェックしてもらい、今現在危険と思われる地域には復元の努力をし、少し心配な地域には厳重なチェックを行ってもらい、それ以上は気にしないのが、唯一現実的な対処のはずです。
 日本全国みんな「セシウムさん」なのですから、「フクシマ」を特別視したり、ましてや風評で差別しないように、くれぐれも心がけたいところです。

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