私が怒っても仕方がないことではありますが、送り火の問題では腸が煮えくり返っています。
直線距離で180キロも離れた場所の産品に、いちいちセシウム検査を行い、食べて良い含有量よりも少ないものさえ、「汚染された」として排除するというのなら、京都は今後、同距離の北関東地域や、日本海側の新潟市をも含む、ほとんどオール東日本を汚染地として差別すると、宣言するに等しいことになるのに気づかないのでしょうか。
それほど過敏なら、京都市職員の目の前にある「ぶぶ漬け」なり「おばんざい」の中のセシウム含有量もいちいちに調べ・・・、ああ、国の基準値があればその範囲内で食べるのは良くて、野焼きには出来ないのでしたっけ?ああそうですか、それなら焼却場に搬入された生ゴミも検査し、ご国の基準値がないので燃やせませんと、各家庭に突き返されてはいかがです?
といった具合に、その方面では才能のある方が多いとされる地域の平均値を軽く上回るであろうイヤミが(私は横浜では珍しくイヤミ大好き人間)、次々に思いつくのですが、そのようなイヤミより、具体的な認識を改めてもらったほうが良いと考え、補足しておきます。
基本的な問題は、東日本にもまだいるでしょうが、特に西日本の人たちに多く見られる、自分たちの周囲は放射性セシウム(以下「放射性」省く)がゼロなんだ、という妄想です。それがすべての判断を狂わせていると、私には思えます。
しかし、現実は違います。例えば、「セシウムさん」で番組がつぶれた東海テレビのある愛知県のお茶(荒茶)からも、管見の及ぶ限りの最大値で1kg360ベクレルのセシウムが検出されています。送り火の空騒ぎで絶賛恥さらし中の京都はわかりませんでしたが、隣の奈良県の荒茶からも、1kg7ベクレル未満と微量ながらセシウム検出されていますし、九州熊本県でさえも、1ベクレル未満ながら荒茶よりセシウム検出されています。残念というか、私に言わせれば当たり前なのですが、ゼロ、ではないのです。西は完全な清浄地、東は汚染地、などと言うのは、無知の空想の世界でしかないのです(沖縄は除いても良いかなぁ)。
奈良県のケースについての記事http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201106170022.html
こうした現実を直視していれば、「放射性セシウムが検出されたら使わない」などと、ふざけきった言葉を、まじめな顔で語る地方公務員やら首長は、日本に存在しないはずだと思います。差別して他を安易排除する前に、自分も同質ではないか、一歩下がって考えるのが、思いやりというものでしょう。京都の首長も職員も、善意はあっても無知だっただけだと思うので(もしくは他人事と思い込んでいて深く考えない)、猛省し、今後しっかりして頂きたいところです。
【補足の蛇足~NHKは報道したのか?~】
京都の送り火問題について、NHKのニュース番組で取り上げられていないような気がするので、邪推しております。念のためNHKニュースのサイトで関連記事を検索したところ、8月11日に再度取り寄せる旨の報道後、12日の会見などの報道が見当たりません。
・・・妙ですね。まさか、五山の送り火についてのドキュメント番組を作ったり(興味深く拝見しましたよ。おかげで保存会のみなさんのご苦労も、それなりに理解しているつもりです)、最近でも祇園祭の特別番組を作ったり、そういった報道とは無関係なところで密接な関係を持つ、京都市の行政や関連団体への配慮が働いているわけではないでしょうね?
万一そういった配慮があるのなら、それは国民の知る権利を奪い、根拠のない差別を野放しにし、結果、多大な被害を差別を受ける側ばかりか、誤解して差別した側にも与えることにもなる愚挙だと思います。誤解を生むのは情報の不足以外ではなく、それを補うのが報道機関の責務ではないでしょうか。
このような邪推を受けないように、また京都の大切な伝統行事を、誤った認識での軽挙妄動でこれ以上傷つけないように、隠蔽ではなく、公開して問題点の洗い出しの方向で、NHKさんにもご努力頂きたいと切に願うところです。
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