京都市の行なった記者会見が詳報されるようになりました(NHKはあまり報じていませんか?)。中止の理由としては、放射性物質が検出されたら取りやめることにしていたのでやむを得ない。燃やして良い基準値を国が示していないので、我々には許容する判断ができない。学者に意見を求めたところ「燃やして安全かはわからない」と言われた。といったものです(判断能力はゼロなのに余計な騒ぎを起こしていますとの告白のようですね)。
私は、次のようなことをする人間を人非人と蔑み憎みます。傷つき倒れている人に手を差し伸べ、倒れている人が伸ばすと慌てて手を引っ込め、何やら仲間内で話し合い、また近づいて行ってニッタリ笑い手を出して、手が触れたらその手を払いのけて、倒れた人の泥が移った自分の手を汚いものを触ってしまったと言わんばかりにパンパン叩くような奴です。今回の京都の地方行政府や五山の送り火主催者側の行なったことは、それと同じです。否、さらにひどいことに、倒れた人の衣服についた泥を検査して、「破傷風菌がついてたから、危なくて触れないから~」と言ってのけたくらいのものでしょう。
彼らの根本的な過ちは、住民を称する一部の愚者の妄言に乗せられ(たと称して)、放射能検査を行なったことです。住民エゴの愚者には、「180キロも離れていますから、その心配はありませんし、同じ日本人としての鎮魂の気持ちを表すためのものですので、ご理解ください」と言っておけば良かったのです。それをせず、無礼千万にも検査を行なったのは、実は主催関係者に同じ心配をする愚者がいたと類推せざるを得ません。次の過ちは、ものを頼んだ側が決して行なってはならないような余計な検査をした挙句、結果まるで検出されなかったにもかかわらず、漠然とした不安をもつ「世論」がある称して、それを現地で焼却したことです。現地で送り火に使用したのは、それ自体絵柄が綺麗でも目的外使用です。それだけでも十分すぎるくらいにふざけた背信行為ですが、理由が漠然とした不安に過ぎないのですから、最悪と言えます。非難轟々となるのは当たり前で、それすら予想できない脳みそと言うことです。さらなる過ちは、本当の世論によって非常識な行動を指弾され、慌てて再度調達した薪を、まるでそれが当然なことのように検査したことです。自分の不手際で、再三迷惑をかけながら、受け取ったものに難癖をつけるなど、非常識を通り過ぎて狂気の沙汰ですが、自分の狂気に気づかないほど、身勝手で無神経なのでしょう。
良識のある京都の人たちも気の毒です。これにより、「閉鎖的で独善的な京都」といったレッテルを、貼られてしまったからです。古都を愛する者で、これを悲しまない人がいて良いものでしょうか。
日本全国汚染されていない地域はなく、違いは濃淡でしかありません。それにさえ気づかず、事故現場から180キロも離れた被災地を、「東北ならすべて同じ」くらいの無知で差別し、魚目鷹の目で検査をして汚染地のレッテルを貼り、さらにそれを喧伝して回った報いは、必ず自分たちにめぐってきてしまいます。西日本でも、そこらの側溝にあるかもしれない、わずかばかりの放射性物質と引き換えにするには、あまりにも大きな代償ではないでしょうか。
東海テレビも放射能と無関係なほかの言葉なら、ただのテロップミスの放送事故に過ぎなかったものが、番組打ち切りとなってしまいました。ナーバスな問題なので、海の向こうの時事ネタのように他人事とせず、じっくり冷静に考えて、自他共に傷つけ、高すぎる代償を支払わないように気を付けたいところです。
【加筆】
その後、毎日新聞に詳しい記事を見つけましたので、ご紹介の上、私見を付け加えます。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110813ddm001040109000c.html
基本的に調査方法が非論理的に過ぎます。「(薪の)500本すべてから表皮のかけら計1キロ分を集め」、食品の可食部に含まれるセシウム量の検査同様のことをした模様ですが、薪は食べ物ではありませんし、そもそも燃やすのは表皮部分だけではありません。一体何を検査したかったのでしょうか?私には、多少のセシウムが検出されるに決まっている方法で難癖をつけているようにしか思えない仕打ちです。
薪の表面線量を一応チェックするのなら、ガイガーカウンター(線量計)でその場でパッと見れば良かったのです。おそらく、検出された程度の超微量セシウムが発する放射線など、感知できないでしょうから、それで終わったはずでした。それでも、燃やした際に、なぜか放射性物質に限って周囲に四散し、不思議なことに周囲の人に影響を及ぼすと信じたいなら、燃やす物全体、この場合薪を輪切りのようにした1キロ分で検査しなければいけません。表皮だけ使用するわけではないのに、表皮部分だけ集めて検査するなど、意味が分からず、情報操作を疑られる検査方法と言わざるを得ません。常識的に考えれば、表皮部分の重量など全体のわずかであ、例えば10分の1が表皮だとすれば、他からはゼロ、未検出ですから、検査結果も113ベクレルとなっていたはずで、これは記事内で立派な専門家がご指摘されている以上に、食べてすら問題にならないレベルとなります。
そもそも、このような非常識極まる厳密な検査を行われたら、野ざらしになっているものでセシウムを全く含まないものなど無いのではないかと思います。検出した量の多寡ではなく、有無で決めることにしていたそうですから、試しに、大文字焼きに使用する普通の薪も調べたら如何でしょうか?検出されたら、中止していただきたいものです。
問題が生じる可能性のある部分をわざわざ凝縮して、食べ物ではないものを食べ物と同様の厳密さで検査し、「セシウムが出たからダメ!」などと、故意ではなく無知蒙昧のなせる技とは言え、己らの不適切な検査方法で大迷惑を巻き散らかしたことについて、しっかり検証し、猛反省していただきたいところです(個人的に責任を感じすぎる必要はない。無知を恥じれば、今後間違えないように、何が問題であったか真剣に学び考えるのみ)。
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