関連地震の揺れでメダカの水槽がこぼれると、鯰足が始まります。
さて、道端の電飾付き冷蔵庫(飲料水の自販機)が石原都知事閣下のご指摘で、今さらながらクローズアップされ、一日だけ空騒いだ者もいた水道水の放射性物質の話も聞かなくなった今日この頃(念のため言っておきますが、あからさまなイヤミですよ)、足立区の生んだコメディアン(ビートたけし)にして、世界的な映画監督で文化人でもあるのかもしれない北野武さんが、11日に「東京湾に原発作れ」と問題提起をされていたのを知りました(サンスポの記事)。
200キロも離れている場所で、これまで福島で作られた電力を消費して豊かな生活を送っていたくせに、多少の放射性物質くらいで大騒ぎする東京都周辺の人間に対する風刺なのだと思いますが、前に触れたように、現実には有り得ません。理由は、人口密集地帯に作れば、事故の際に収拾がつかなくなるからです。10万人は避難出来ても、1000万人は避難出来ません。それだけのことです。当然、万一の際に避難民を受け入れる体制を万全に整えておかねばならないはずでしたが、『安全神話』による思考停止により、政府も電力会社も、長らく本当に事故など起きないと信じ込んでしまっていたようで、受け入れるべき大都市圏の方もうろたえてしまったのですから、実に情けなく、福島県の方々には何とも申し訳ないことになってしまいました。
しかし、東京よりも原子力発電に対するリスクを背負っている大都市は、世界中にたくさんあるのも事実です。
例えば、アメリカのニューヨーク。何と50キロ程度しか離れていない場所に原子力発電所があり、また、北西のコネチカット川で稼働中の原発からも150キロ程度の距離でしかありません。今回、福島第一原発の事故に際して、アメリカ政府は最悪を考えて50マイル(約80キロ)圏外への退避を、早々に自国民に勧告しましたから、万が一にもインディアンポイントで事故が起きた際は、ニューヨーク全市を含む1000万人以上に対して退避勧告を出す覚悟と準備があるのだろうと思います。実に立派なものです(イヤミですよ~)。
イギリスの首都ロンドンにしても、100キロそこそこの位置に原子力発電所があり、200キロそこそこのウェールズ地方では、いくつもの原子炉が稼働中ですし、フランスの首都パリの北150キロそこそこの海辺は原子力発電所の密集地帯で(ロンドンからも200キロ程度の距離)、南のロワール川沿いの原発とも同程度の距離でしかありません。それでも100キロ程度は離れていますし、今回の件で、自国の万一の際の悪しき前例になるような振る舞いもなかったように思います。さすが、『先進国』といった趣です。
実に冷静な英仏両国に対し、驚かされたのがドイツの狼狽ぶりでした。今回、福島第一原発から200キロ以上も離れた東京の大使館員ほとんどすべてが家族を連れて、3月17日に関西へ遁走してしまったのです(4月11日になってようやく戻ったらしい・・・【大使館HP】)。しかし、ドイツにしても、首都ベルリンと北西の都市ハンブルグ間は250キロ程度に過ぎず、その途中のエルベ河沿いでは、原発が稼働中なのです。これらの原子炉に万一の事態が起これば、これまた1000万人をはるかに上回るはずの周辺住民を、どこか他所に退避させる覚悟と準備をお持ちなのでしょうか?外交官というギリギリまで職場を離れてはならない者たちが、事故現場から200キロもの距離にありながら、「友人」であり隣人であった東京都民を不安にさせてまで、遁走するくらいですから、万一自国で事故が起きたら、国民を放り出して政府機関がどこぞに逃げ出す気満々なのではないかと、疑られてしまうように思っていました。したがって、反原発を掲げる『緑の党』が躍進するのも当然で、それはドイツの現政府の身から出たさびではないかと思います。
私にとってドイツと言えばサッカーで、皇帝フランツ・ベッケンバウアーであり、爆撃機ゲルト・ミュラーであり、不屈のゲルマン魂でしたが、今回の狼狽ぶりを見せ付けられて、イメージが変わってしまいました(チェルノブイリの後遺症は根深いものと、同情はしていますが、それでもやはりがっかりです)。
一方、骨の髄まで日本の真の友人が、海外にたくさんいるのも、今回の震災で理解できたと思います。アメリカ軍は、実に親身になって救援してくれましたし、また、長らく日本文化を紹されてきたドナルド・キーン氏は、このたび日本国籍を取得し東京に永住されるとのことです(時事通信)。「雨の時に集まってくれる友こそ真の友だ」と、どこかの気色の悪い無責任な脱税宇宙人が言い、「雨の日にやって来る友人は本当の友人だ」と原発の超先進国フランスのサルコジ大統領が3月31日に来日した際に、どこぞのカンカラが言っていたようですが、発言者たちの人格を無視して、言葉だけはその通りだな、と身にしみているところです。
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