どうじゃこうじゃと

 明日で震災1ヶ月。
 にもかかわらず、原発事故のせいで、収容できない遺体も多く、やるせない状態のままですが、この話題に触れるのは、これで最後にしたいと思います。他人の悪口になるので、くたびれるし・・・。

 東京への一極集中は好ましからざることだと思うので、移住先で生計がたつ人は、この機会に、お好みの地へお移りになって良いかと、個人的には思っています(何とかクリエーターには悪いけど、西表島はあまり勧められないなぁ・・・)。
 東京の大テレビ局、4チャンネルでおなじみの日本テレビの「報道局社会部デスク」という役どころであったという人も、放射能を恐れ、職場を放棄して関西地方に遁走したそうです(記事)。これは、臆病風に吹かれただけなので、職場放棄に対する社内処分は当然として、人間として責められることではないと思います。怖いものは怖いのです。それは理屈ではありません。例えば、大坂夏の陣で真田幸村の軍勢が乾坤一擲の突撃を敢行し、徳川家康の本陣に突き入った際、その勢いのすさまじさに、家康の身を守るべき旗本たちの多くが、主人を省みず脱兎のように逃げ散ってしまったと言われています。
 しかし、この方、ご昵懇らしいクリエーター氏の西表島のお宅ではなく、関西でにあくまでも個人的な取材を重ねて、ブログ上に問題提起を続けられているのを知り、その内容を先ほど拾い読みしていて、何とも辟易とさせられました。
 例えば、4月10日付に医師で岐阜環境医学研究所所長である方の話として、「現実に可能かどうかは別として、内部被曝という観点からしますと、中部より西日本の圏内まで退避するほうが望ましいと僕は思います」、とあります。そのようなご発言をされたのが本当なら、ご本人は気づいていないかもしれませんが、こういった発言こそが、世の中で「学者馬鹿」と呼ばれる由縁だと思います。現実に不可能なことをペラペラと話すのは、浮世離れした無責任と見なされるだけ、ということにすら気づかないのですから・・・。
 感想としては、社会的身分を捨てて東京から逃げ出すほど関心が高かったはずの人間が、『内部被爆は危険だよ』程度の話を聞いて「改めて中身を聞くとびっくり」とか「発生する可能性を指摘され」ただけで「愕然する思い」になる方がむしろ不思議、というだけです(何を怖がって逃げたのかと・・・)。ごく微量でも問題あると考えるか、考えないか、つまり解釈の違いは専門の研究者の間に存在するわけで、どちらが正しいとは現時点ではわからず、とりあえず危険をそれほど過大視しない側が優勢(チェルノブイリの事例がある。ただし、データ不十分とは言える)、というだけの話です。研究的な学問を知らない人は、とかく白か黒か丁か半か、みたいにどちらか一方に割り切れると考えてしまいますが、いずれの専門的な学問でも、研究者の意見が一致することなどほとんど有り得ないものです(一致するくらいなら研究など無用)。
 それを、素人が恐怖心に任せて、自分が指向する少数意見ばかりつまみ上げて、それを吹聴し、不特定多数の人の不安を助長させるなど、ずいぶんといい気なものだと思います。そして、いつもは学会で少数派として虐げられているのかもしれませんが(多数派は電力会社からお金をもらって研究費が潤沢だという話もありますし・・・)、ここぞとばかりに素人相手に学問的な自説、それも一般人の生活に大影響を与えるような内容を展開していると見なせば、社会人としての常識の欠如と、研究者として慎みの無さを感じるだけで、誠に遺憾です。そのようにお暇なら、せっかくの「好機」ですから、門下生でも引き連れて、さっさと現地で長期にわたる健康調査を敢行し、資料をそろえた上で、言いたいことは学会で述べて頂きたいです
 「リスクを軽視することが正しいと言う人々が、まさにそれを軽視することそのものが、国民の安全を最も損ねていく可能性があると僕は思うからです」と、書かれてもいました(ブログは紹介しません)。笑止千万ではないでしょうか。地位も名誉も職場も同僚も捨てて、臆病風に吹かれて行き着いた先で、その恐怖心に理由付けしようと奔走するのが、ジャーナリストの使命とでも信じていらっしゃるのでしょうか。それはジャーナリストならぬ「しゃーない人」・・・、いやいや、バーナード・ショーの言葉を謹呈します。
 「愚者は自分が恥ずかしく思うことをすると、それは自分の義務だと言い張るものだ」
 
関西には比叡山とか高野山とか、じっくり自分を見つめなおすには良さそうな場所も多いので、そちらに行かれた方が、精神的な苦痛は和らぐかもしれませんね。

 実証されていない危険性のみで、多くの人たちの生活を奪うようなことは、常識的に不可能です(何百万人以上の規模となると物理的に不可能)。しかも、チェルノブイリで30キロ圏の強制移住処置の前例がありながら、20~30キロ圏すら、自主避難の形で放っておくような無能な政府が、より前例のないことを実行に移せるはずがありません。
 と言うより、すでにしなかったのが現実です。避難させなかった現実に立ち、放射能過敏派なり慎重派で晩発障害を心配するのなら、原発○キロ圏に住む人や何マイクロシーベルト以上が検出された地域の人は、今後の健康をしっかりモニタリングできるように、定期検査を密にし、その医療費などが一切必要でなくなるように、あの魯鈍な政府に強く要請して頂きたいところです。それが、現実に則した建設的な考え方のように思います。
 原発の状態にしても、「予断を許さない」わけで、最悪の事態も絶対に無いとは誰も言えません(千年に一度の天災という話ですし・・・)。本来なら、最悪の事態となった時はどうするのか、「最悪とはコレコレで、その場合もかような処置をとるのでご安心ください!」くらい言って欲しいですが、あの政府に期待など出来ませんから、とりあえず昨日触れたアメリカの勧告が、最悪に近いケースくらいに考えて、不安な人は気の済む程度に具体的な準備をしておくのが、ネットでいろいろ頭だけ肥やすよりも、精神的にも良いかと思います。

 私などは気楽なものなので、「苦しみが残していったものを味わえ!苦難も過ぎ去ってしまえば甘い」などとゲーテのように他人には言えませんが、一休さん(一休宗純)の言葉でもかみ締めつつ、余計なゴタクを閉じましょう。
 南無釈迦じゃ 娑婆じゃ地獄じゃ 苦じゃ楽じゃ どうじゃこうじゃと いうが愚かじゃ

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