いつの頃から言われ始めたものか、「ガンバレ!」と他人に言うのは、押し付けがましいのでやめたほうが良い、という見解があります。若い頃の私も、頑張っているに決まっている人や頑張ろうと思っている人に、「れ!」などと命令口調は如何なものかと考え、「オメーに言われたくネーよ!」と反応されて当然と思っていました。
しかし、間もなくこの考え方は改めました。「ガンバレ!」は自分への励ましで、ほとんど独り言の類であって、これをあえて他人に対して用いるのは、『惻隠の情』から出てくるもの、つまり相手の身に瞬間的になったつもりになって、一緒にがんばりたいとの意思表明と受け取るのが素直だ、と認識するようになったのです。
確かに、他人からの命令口調ととらえたら、「これ以上どう頑張れって言うんだ!」とつむじを曲げたくもなりますが、仕事にせよ生活にせよ、本当に苦労して額にも心にも汗して懸命に生きねばならない時、人間は「ガンバレ!ガンバレ!」と自分で自分を鼓舞せずにはいられないはずです(若ければ若いほど、恵まれていれば恵まれているほど、実感する機会に遭遇しないで済むかもしれない)。「コダマでしょうか?」「いいえ、誰でも・・・」といった詩のフレーズが、震災直後にやたらと放映されていたようですが(個人的にはNHKとニュースバードばかり見ているので気づかない)、他人からのかなり無責任な感じの「ガンバレ!」でも、自分の声のコダマだと思えば腹は立たないと思います。
今回の大震災において、その復興に向けた合言葉は「がんばろう日本」のようです(阪神淡路の際は「がんばろうKOBE」)。「がんばろう」の方が「がんばれ」より、勧誘的なやわらかな表現となり「一緒に頑張りましょうね」のニュアンスが強まるので、こちらの方が誤解を招きにくいかもしれません。しかし、苦境に立った時の自分自身にかける言葉なら、「気合だ~!」と言うのもありますが、やはり「ガンバレ!ガンバレ!」、方言なら「ケッパレ!ケッパレ!」の方が、歯切れが良いと思います。
被災地などで、いろいろ苛立ちや不安を抱えつつ奮励努力されている皆様に、「ガンバレ!ガンバレ!」。
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