『長閑』に春の歌2首

牧進『長閑』文鳥部分

牧進『長閑』リトグラフ

 2ちゃんねるの話は、今のところアクセス数が増えるでもなく、問題なさそうですね。
 放射性物質などについて不安を抱えるのは理解できますが、ネットで不安の種ばかり探してみても(自分の不安を紛らわすために、いろいろ整合性の無い情報を集めて公開してしまう人や、面白がって終末思想のようなことを書きたがる人は、いつでもいますし、こういった際には顕著に増えてしまいます)、何の解決にもならず、くたびれてしまい、段々何もかも疑わしく思えてきて、最終的には自分も自分の文鳥も不幸にしてしまうかもしれません。
 どういった情報で不安に思っているのか言えば、しっかり答えてくれるまともなサイトの管理人も多いでしょうから(2ちゃんねるは面白いのは、書き込みが匿名で無責任に出来るからです。真剣に質問するような場ではないです。私は文系で「そっち方面」の人ではないですが、それでも同じ文鳥愛好者の義理として可能な限り答えます)、まず不安の元を整理してみると良いのでは、と思います。

 さて、一昨日の夜、牧進画伯の白文鳥と水仙の絵『長閑』のリトグラフを購入することに決めた。前々からオークションに掛かっていたものの入札が皆無で、徐々に値下げされ、このままどこまで安くなるのかと、とおせっかいな興味を抱いて、様子見していた作品だ。
 牧進画伯の絵は好きだが、私は断然桜文鳥派なので、購入する意欲はさほど無かった。しかし、一昨日になってリトグラフの刷りナンバーが180枚中の79番であるのに気づき、途端に欲しくなってきた。なぜか、79番は鳴くか泣くで、次の歌を連想したのである。
 汝や知る 都は野辺の 夕雲雀 上がるを見ても 落つる涙は
 (なれやしる みやこはのべの ゆうひばり あがるをみても おつるなみだは)
 意訳するならこういった感じだろうか。
 「ご存知ですか。あの栄華を誇った都の邸宅や仏閣が灰燼となり焼け野原となってしまったことを。今では、町では見なかったヒバリが、綺麗な鳴き声を響かせながら夕日に舞い上がっていきますよ。その声を聞いては、落ちる涙を止めようもありません」
 季節はいつか・・・、雲雀、調べたら春の季語だった。そして、大津波と原発事故で二重に苦しめられている福島県南相馬市の市の鳥でもあるそうだ。・・・となれば、買うしかないのではなかろうか。元々付けられた値段よりすでに30パーセント以上安くなっているので、さらに下げずに、オークションを取りやめるかもしれないし・・・。
 そして今日、我が家にやってきた。良いね。丁寧で品がある。早速自室に飾った。室内、散らかっていて相応しくない気もするが、額縁はかなりくたびれてもいるから、まあ、許されよう。
 なお、絵の題名『長閑』は訓で読むなら「のどか」、絵の主題である水仙は2月頃に咲く花で、俳句の世界なら冬の終わりの季語になるはずだが、のどかと言えばやはり春だろう。百人一首にもある。
 久方の ひかりのどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
 紀友則の有名な歌なので、解釈は無用だと思うが、いちおう意訳すればこういった感じだろうか。
 「暖かな春の光がのんびりのどかに包んでくれているのに、どうして急きたてられるように桜は花を散らせてしまうのでしょうか」
 時は春。芽吹きの季節。我が家の桜は昨日、日本桜草(『白鷹』)は今日、開花した。暖かな日に包まれて、被災地は復興、その他の地域は平常な生活、出来るだけ「しづ心」で励みたいものだ。

 さて、文鳥たち。
 今夜、シンがトミの存在に気づいた!気づいてみればタイプ顔立ちで(シンさんがストーカーしているマキの孫)、しかもオスにさえずられるのが大好きな小娘だ(オトミビッチと呼ばれる)。
 今のところ、シンの方が様子見をしつつ付け回す程度だが、急接近してしまうかもしれない。・・・望まれない年の差カップルが2組出来あがってしまうのか。飼い主としては自由恋愛に反対したいのだが・・・。

日本桜草『白鷹』

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