キャップを真剣にかじっているケコ
差し餌をされて育った文鳥は、人間を別の強い動物と認識した上でなつく(『懐く』慣れ親しむ。慣れて付き従う)のとは少し違う。何しろ、人間である飼い主は、当然文鳥とは違う生き物だと認識しているが、文鳥の方がそうは思っていないのである。彼らにとって、エサをくれた『親』は、兄弟姉妹や自分と同じ生き物に決まっており、どれほど兄弟姉妹と違った外見でも、そのようなことは関係ない(。
つまり、差し餌をされた後、売れ残ってペットショップに居続けになったような文鳥は、人間を同種の仲間=恋愛対象と見ているので、うまく接することが出来れば、だんだん慣れて付き従うようになるのではなく、恋ビトとして親しく付き合ってくれる可能性を秘めているに過ぎない。扱いが悪ければ、嫌いな友達になるだけなので、文鳥の飼い主には、違う生き物をなつかせようとするのではなく、同じ生き物として愛してもらおうと努力しなければならない。
それで、複数飼育していると、「我が子」たちは育ての親だった飼い主を恋ビトにはしてくれず、見慣れた親しい仲間くらいの位置づけになってしまう。大きくて動きが遅い人間よりも、すぐ側で一緒に行動してくれる文鳥の異性が魅力的になってしまうのだ。
しかし、売れ残りのケコにとって、現在飼い主が唯一親しい仲間となっている。いろいろかじってくるので困るのだが、追い立てると、定位置でクラを叩き落すので、頭上や肩や腕での親愛なるつねり(「ちねり」という人もいる)攻撃も、ある程度甘受しなければならないが、好かれたら悪い気はしないものだ。
それでも繁殖期になれば、他のオスに興味を示すようになるだろうか。今のところ、我が家のオス文鳥たちには、まるで好かれていないが、言い寄られるようになるだろうか。まぁ、三食昼寝付きで、産卵もせずに、人間をつねりながら長生きしてくれるのも良いかな、とも思う。
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