嫁文鳥探し大成功

新入りのごま塩文鳥「ケコ」
我が家の人間に大いに気に入られた「ケコ」

 ノコリをノコピコとも呼んでいるが、それは飼い主の方に止まって「ピコッ、ピコッ」と呼びかけてくれるからだ。現在文鳥の伴侶のいない彼は、もともと一羽育ちの箱入り息子ということもあり、人間を伴侶と見なしているので、肩にへばりつき、注目してもらおうと呼びかけてくるのである。
 正直に言えば、この状態は飼い主にとってうれしい。このままであって欲しいと思う。しかし、他がみなペアになったのに、箱入り息子を一羽暮らしのままにしているのは、やはり宜しくないだろう。嫁文鳥など迎えたら、肩でピコピコ言うこともほとんど無くなることは分かっていても、やはり嫁文鳥を探すべきか。嗚呼!元々気乗りはしていなかったので、ノコリが嫁候補のスミに興味を示さず、シンがそのスミとペアになってくれたのは、むしろ有り難いくらいだったのだが、そのため独身が一羽になり、飼い主に対する暗黙のプレッシャーが強まってしまうとは!
 などと、他人にはおそらくまったく理解不能な思いを悶々と抱えつつ、嫁文鳥探しを継続していたのであった。
 ノコリの前妻はずっと年上の桜文鳥コウで、彼は現在桜文鳥のアイに関心を示しているが、白文鳥のメイを誘惑しようと企んでもいる。白でも桜でもどちらでも良さそうだが、直近に桜文鳥のスミを拒絶した(日を置いて同居させればうまく行ったはずだが、そのような暇もなくシンがかっさらっていった)。一方、飼い主としては、桜と白のペアで白羽の多いごま塩文鳥が生まれて欲しいという願望が強まっている。そこで、神々しいまでに美しいか、可憐でかわいらしいメスの白文鳥がいたら買うことにしたのである。いちいちケチを付けて買わない魂胆だ。

 センター北のペットエコ横浜でスミを購入する際に、同ケージにいた白文鳥を見ている。1羽は外見では文句をつけにくいほど美しかったが、メスのケージに紛れ込んでいたオスのシナモン文鳥といい仲になっていた。別に過去に「男がいても」構わないが、同じお店で連続して購入するのは癪だ。とりあえず、あのお店は生体をそろえていてくれるので、秋近くなっての最終手段とする。
 その前に、みなとみらい地区のセキチューで白文鳥を見ている。しかし、顔付きが好みではなかった(飼い主が独善的な主観でケチをつけているだけなので、間違っても参考にしないように)。昨日自転車で行った蒔田の田中鳥獣店は、シナモンとシルバーとクリームのペアしかいなかった(『この野郎・・・』と横目で店主をにらんだのは言うまでもないが、当然文句を言える筋合いではない)。さらに、弘明寺の柿崎水魚園‎に初めて行ってみたが、小鳥の生体を扱っていなかった(取り寄せなどはするようだ)。

 そして今日だ。
 行ったことのないお店に行きたいのだが、小鳥の生体を扱うお店は、減ることはあっても増えることはほとんど無い。それでも一軒行ったことがないお店が追浜にあったので、まずは京浜急行で行ってみた。駅正面の大通りにあるムサシヤ鳥獣店‎は、鳥獣店といかめしいが、実際は街の小さなペットショップだった。清潔とは言いかねる店内の薄暗い棚の下の方に白文鳥が1ペア、身を寄せ合うようにしていた。店主の姿は無い。他に文鳥はいない。姿かたちはどちらも似たり寄ったりで、ごく普通だ。ペアの仲を引き裂いて連れ帰るほどの魅力を感じない。次。
 潮混じりの風の吹く追浜から、国道16号線をてくてくと北上する。途中、あちこちに小さな生花店を見かけて不思議に思いつつ、市の境界をいつの間にやら越えて、たびたびやって来るおじいちゃんの小鳥屋さん六浦小鳥店に到着する。まだ存在していることに喜びつつ中に入り、よく映らない小さなテレビを見ている店主にあいさつどころか一瞥もくれずに文鳥の置かれている棚に向かう。正面にごま塩柄の文鳥が、小さなカゴで1羽静かにたたずんでいた。
 かわいらしい。顔立ちはやさしげで、態度はおとなしく、カゴに顔を近づけても怖がらない。どう見てもこれはメスだ。メスでなければならない。白文鳥を探しているのは、ごま塩柄の子孫を得ようとする目的だったが、嫁文鳥自身がすでにごま塩なら何の問題もないどころか、願ったりかなったりではないか!少々不健康そうな気配がないでもないが、病弱、短命、だから何だ。それがどうした。である。
 とは言え、いちおう他の文鳥も見る。ごま塩ちゃんの左は十姉妹軍団、右はヒナ羽毛の残る白文鳥とシルバー文鳥、この2羽やたら騒々しい。十姉妹軍団の上のカゴに白と桜のペア、体格は同等でどちらがオスであってもメスであっても不思議は無い感じだ。桜の方は少し脚が悪いかもしれない。さらに右の白・シルバーの下のカゴにヒナ羽毛の残る白文鳥ペア。どちらも姿は悪くないがヒナ換羽中で落ち着き無く騒がしい。
 もう1ペアいたかもしれないが、もう目に入らず、やはりごま塩ちゃんが一番だと思いつつ、おじいちゃんに「文鳥のメスください」と言う。案の定、これがメスと一羽暮らしのごま塩ちゃんのカゴを持ち出し、よく確認するように言うので、爪傷(つまきず、指や爪の部分剥落のこと)があったところでどうでも良いので、『OK!OK!オールセーフティ!』と心で唱えつつ、お勘定を頼む。途中、たくさん飼っていて1羽だけあぶれているオスがいるといったようなことを話し、メスはなかなかいないのだといった話を聞く。念のため、どれくらいの年齢か尋ねたら、1歳くらいとのことであった。おそらく2008~2009年シーズンの手のりヒナの売れ残りであろう。遅生まれのノコリより数ヶ月早生まれかもしれないが、同学年といって良さそうだ。4,500円。

 小さなボール箱の中で暴れる文鳥を抱えて家路を急ぐ。道々、名前はやはりゴマなのだろうかと考えていたが、家に着きカゴに入れて八景のお店で買ったのだと老母に見せたところ、途端にケイコちゃんと呼び出した。それはあんたの妹の名前だろうがと思ったが、せっかく年寄りが気に入ったようなので、「ケコ」にした。何となく雰囲気がそういった感じではある。お店では「ごま塩ちゃんだ!」で興奮していたわけだが、落ち着いて見ると、我が家のハンに生き写しなので、その記憶が年寄りの脳裏にもよみがえったのかも知れぬ。
 お店では売れ残りのあまり者だったかもしれないが、我が家では前代未聞の大当たりだ。我が家に来て、2時間、今はアワ玉を撒き散らしつつ食べまくっている。環境にもすぐに順応してくれそうだ。数日後の放鳥デビューが楽しみだ。

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