精神的な遮蔽が肝心

換羽明けで元気な白文鳥(シン)
換羽明けで元気な白文鳥(シン)

 オッキの飛翔力が減退したのがわかった時は、長生きはしてくれないのかと思ったが、甘えん坊の文鳥なので、その時になっても手を避けるようなことは無いだろうと思っていた。ところがあいにく換羽のため、精神的にナーバスになっており、今の状態は母親のゴンの末期に似ている。手の中でじっとはしないのだ。
 夜、掃除をしているとヨレヨレと出てくるので、明日をも知れぬ身でどうするつもりかと思いつつ、テーブルの上に置くと、転がるようにしてカナリアシード入れに行き、中に入り込んで思うさま食べた。そして、水を飲んで所在無げにボンヤリしているので、カゴに帰すと下段のワラ巣で静かにしている。
 食欲があるのは結構なことだ。病状が悪化するまではアワ玉ばかり食べていたのに、今はカナリアシードに執心で、配合エサの中のものを食べつくし、もっと食べたい欲求があったのだろう。とにかく、エサ入れにカナリアシードをたっぷり入れておく。
 基礎体力があるので存命しているが、一昨日の段階で、飼い主は精神的な遮蔽を準備していると言える。普段から、ある程度覚悟しておかないと、その時のショックが大き過ぎることになるが、こういった危篤の状態の時はさらに心しておきたいものだ(瞬間的に感情を止める)。それは、病院に行くなどの積極的な対応に気がとられていても、必要なことだと思う。
 人によっては、一見感情的に泣いたりわめいたりするが、これも一種の精神的遮蔽に他ならないと思う。そのうち時は過ぎていく。
 時間で解決しないとしたら、それは心の病なので、最終的には自分が自分の心と向き合うしか方法は無いと思う。専門医のカウンセリングはその手助けのためのもので、ましてや薬剤など脇役でしかない(すぐに薬を処方する麻薬密売人に類する精神科の医師もいるらしい。物理的なもので推し量れない心なるものの変調を、物理的な薬で治せるわけがないだろうに)。
 ありがたいことに、私は精神的にタフなようなので、それはそれとして他の事も同時に考えることが可能で、むしろ、それがどれほど不謹慎に見られるか、他人の目のほうが気になる。具体的に言えば、残されたゲンをどうするかだ。

 不謹慎の概念の無い文鳥、それも換羽の妻を無視して浮気に走っていたガブの孫であるゲンは、いつものように自分の横にいない妻に不満が溜まってきているようで、少々病気のオッキを邪険に扱い始めている。何と情けないことか、同じ文鳥の夫でも、妻の病状をいたわるタイプは多いのに!とは思うものの、その辺の身勝手さも文鳥らしいところで、たしなめても理解されないだろうから、致し方ない。
 また後妻か。先妻の存命中にそれは無いだろうに、と人間的道徳観念を所有する飼い主は考えるのだが、前例か考えて、日ならずして他のメスを追い掛け回す可能性があり(ただ時期的に繁殖意欲は低下しているのが救い)、そうなるとその好意を寄せる文鳥とは違った羽色のメスを迎えても受け付けてくれない可能性が高い。
 となると、何の根拠もない一縷の望みを抱きつつ、新たな文鳥を迎えるべく画策しなければならないだろう。やはり精神的にタフでないと駄目のようだ。

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