鏡を回転させるシューと見守るラック
マキとイブは何となくカップルになった。マキはイブとの間の卵と認識して産み、それの抱卵を始めたし、イブもラックを慕って元のカゴに帰ろうとはしなくなり、マキと仲良く並んでいることも多くなった。
まだイブが精神的にも肉体的にも幼いと思えるので、卵は孵化させないが、秋にはあっさり12代目が誕生するかもしれない。
一方、シューとラックは夫婦と言うより、異性の悪友といった趣で、仲良く羽づくろいするシーンなどまったくないが、これも問題ないだろう。シューがメスとしての自覚が無いだけで、秋までには変わるだろう。
1、2年は産卵・抱卵・育雛などせずに、今のまま遊びまわってくれた方が良いのだが、そうはいかないだろう。文鳥の成長は、いささか早すぎる。
【余談~インフルエンザ3】
なぜインフルエンザにこだわるのかと言えば、鳥インフルエンザの際のマスコミの報道姿勢を深く恨んでいるためだ。特にテレビ朝日が、どこかの小学校で飼っていたジュウシマツが死んだことを、まるで検証もせずに鳥インフルエンザに関連付けて報道したことを今でも許せないでいる。まず疑うべきは、エサの与え忘れで餓死させてしまった、実に初歩的ながら起こりがちな飼育上のミスのはずだが、話題性のためか、悪気無くその場の雰囲気に流されたのかは知らないが、その影響も考えず脊髄反射で情報を垂れ流していたのである。しかし、そのような態度は、多くの人の生死にも人生にも関わる感染症へ対応をする際には、絶対に避けねばならない不謹慎な態度だと思う。従って、また変な報道をしないか、「インフルエンザ」と聞けば気になるわけだ。
さて、今日のテレビ各局は、横浜の高校生が感染したとか、まるでそれが悪いことのように排除の論理(幼児の「えんがちょ」と同じ)で騒いでいたように見えたが、Aソ連型とわかって静かになった。まったく忙しいことである。しかし、専門家でも優秀で冷静でまともな人たちがテレビでも発言するようになって、だいぶ軌道修正されつつあるような印象を受けた。深夜に騒いでいたらしいあの大臣閣下も、官僚教官出身の優秀過ぎるくらいのエリートだから、そろそろ本質に気づいて冷静に行動してくれるものと信じている(次から次に問題山積で、お気の毒なポストではある)。
とりあえず、弱毒性を前提に普通の生活を続けられるとして、途中で強毒化すると心配する声も大きい。スペイン風邪ではそれが起きたと言うのだ。確かにその可能性が無いわけが無い。しかし、スペイン風邪がそうであったのかはよく分からない。スペイン風邪は、1918年春にアメリカで発生し、ヨーロッパ戦線(第一次大戦中でフランスその他とドイツ軍が塹壕戦を展開中)で流行、同年秋の全世界的流行(パンデミック)となり、そして、1919年春~秋に再び猛威を振るったとされている。つまり流行に3つの波があり、第2波は1波より強毒に変化していたとされ、幼・老年よりむしろ青・壮年に死者を出す特異性を示し、強烈な伝染力で全世界を恐怖に陥れたと言われている。なお、日本でも、1918年10~11月に流行、少し落ち着いて2月に流行した後に沈静化し、1919年12月~1920年1月にかけて再び流行している(詳しくは↓参照)。
東京都健康安全研究センター「日本におけるスペインかぜの精密分析」
http://www.tokyo-eiken.go.jp/SAGE/SAGE2005/sage.html
第1波から2波の間で遺伝子の変質があり強毒化したのか、これはどうもはっきりしない。サンプルを取って科学的な分析をしているわけではないので、想像でしかないのだ。狭くて不衛生で過密な戦場(しかも塹壕の中)といった特殊な条件でもなければ起きなかった特殊な事態かもしれないし(鳥インフルエンザも、毒性を増すのは決まって養鶏場などの過密施設の中)、そもそも1波と2波が同じものであったとも限らない。本日大騒ぎしていたように、別のインフルエンザと混同している可能性もあるだろう。つまり、毒性の強いインフルエンザのパンデミックを考察する際は、一説には西アフリカで1918年8月に高毒化して以降を問題にすべきで、1波から2波への変質を既成事実として考える必要は無い。あくまでも可能性なのだ。
それよりも、スペイン風邪の前例と普通のインフルエンザの状況を見れば、やはり湿潤の日本では少なくとも秋までは大流行が起きないと推定出来ると思われる。春には流行せず、秋が深まって始まるのが、日本におけるインフルエンザのあり方なのである。従って、今弱毒性のインフルエンザに罹患した人を探すよりも、秋以降に万一にも強毒化した時に備え、しっかりと準備をしておくくらいが適当なところだろう(感染者の2m以内に座っていた乗客だけを隔離するというのは、一体誰が考えた基準なのか!)。感染力と潜伏期間を考えればほとんど無意味な「水際作戦」に要する人員と資材は、別に割り振った方が利口だろう。無知な大衆受けをねらったスタンドプレーではなく、必要なところに必要なだけ割り振るのが、上に立つ有能な人々に求めるべき才能だろう。
今回の件は、弱毒性、つまり青壮年層が罹患しても重態化する可能性が低いと判明した時点で、大騒ぎする必要は1つも無かった。スペイン風邪並みかそれ以上の高毒性、つまり青壮年層を重態化させる特殊なインフルエンザを想定して用意したシナリオなど、そのまま当てはめる必然性はひとつも無いと、すぐにスイッチを切り替えるべきだったのである。
まして、魔女狩りごとく罹患した人を責めたり、特別視したりするのはナンセンスであり、発生したら流行する、絶対する、といった前提を持って(「水際作戦」で海外でパンデミックしているものが日本だけ持ち込ませないなどと考えるのは、幼児の妄想)、冷静に対応できるように、しっかりした啓蒙をお願いしたいところだ(程度の低いマスコミの担当者がいたら、施設に放り込んで数日みっちり教え込むべきだ)。
具体的には、今年の秋以降大流行してしまったら、弱毒性ならあわてず騒がず、いつものインフルエンザと同じように対処し(学校で流行したら学級閉鎖。手洗いうがいの励行、満員電車等ではマスクの着用などなど)、万万が一にも強毒性のものが出現した時は、無駄でも「水際作戦」を強化し(外国から入れないと言うより、渡航の有無に関わらず感染者の発見と早期の隔離治療が主眼となるはず)、蔓延した際には経済活動の大規模な収縮を覚悟し、1ヶ月程度の行動制限(夜間外出禁止など)を執行する準備くらい整えておいた方が良いだろう。もちろん、学校は休学にする用意をし、会社は出勤人数の縮小と通勤時間の拡散に備えなければならず、我々一般人も、あまり外を出歩かずに済むように準備しなければならない。
弱毒と強毒(高病原性と言った方が良いか)では、まったく別で、覚悟も対応も異なるので、そのあたりを認識したいと改めて思う。
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