小さくてもたくましいシズ(お腹の羽毛の乱れに注目!)
放鳥終了30分前に、キュー・シズ、テン・カエの検卵を行う。あまり長い時間抱卵しないと冷えて悪影響が出てしまうので、完全巣篭もりのカエが少し羽が伸ばせる程度の時間にしたのだ。
キュー・シズの卵は抱卵の初期段階で、電灯にかざしてわずかに血管が確認できるものが6個中2個しかなかった。すべて産んでから抱卵しているはずなので、4個は無精卵なのかもしれない。やはり、少し休息させたいところだ。とりあえず、より確実に有精卵に見える方を残し、残りの5個は擬卵4個と換える(割って確認したが血管ありは1個。なおテン・カエの卵は、罪悪感を感じてしまうので割って中を見るようなことはしない)。
テン・カエの方は、電灯にかざすまでもなく、小ぶりな6個の卵すべてが有精卵だった。色でわかるのだ。無精卵は黄色、有精卵はだんだん赤く見え(血管が発達するから)、次いで少し青黒く見える(固体となっていくから)。こうなると弱い電灯では透かして見えない。とりあえず、均質な中でわずかばかり大きく見える1個を残し、残りの5個を擬卵4個に換える(卵が多いと抱卵しづらく、少なすぎると放棄する可能性が少し高まるように思う)。
正確な抱卵開始日がわからないので、孵化予定日を決めるのが難しい。本来検卵は有精か無精かわかれば良いので、強烈な照明にすかして内部の発達段階を詳細に確認する習慣がないのだ。実は孵化器を使って詳細に観察したいという願望を、10年以上前から持っているのだが、孵化直前で捨てるのは剣呑で、親鳥に戻すくらいなら全部親鳥にやってもらいたいし・・・、などなどで実行できずにいる。
ただ、文鳥の卵、有精卵の内部の様子の変化については、素晴らしい参考文献が存在する。意外かもしれないが、今市子さんの文鳥マンガ『文鳥様と私』第一巻だ。さすがにプロのデッサン力で抱卵「四日目」から「十日目」までの様子を描いてくれているのだ。しかし、作者が産卵日と抱卵日を混同したのか、孵化は抱卵22日目と誤解している点に注意しなければいけない(描いてあることを簡単に信じたり真似をする人が読むと危険な面がある)。「四日目」とされるのは「かすかな輪が見える」状態だが、これは抱卵により細胞分裂が開始された直後の様子以外の何物でもない。卵内部の発生は実に速やかに進行するので、4日もたって形を成さないことなど、より孵化日数のかかるニワトリでもありえないのだ。
つまり、「四日目」は抱卵を始めて約1日後の様子で、キュー・シズの卵は「はっきり血管を確認」とされる「六日目」=3日後くらい、テン・カエの卵は「体が厚くなって心臓は見えにくくなってくる」とされる「十日目」=7日後以降と見なせそうだ。となれば、文鳥の孵化は抱卵開始の16日後なので(当日を含めれば17日目)、孵化予定日は9月30日と10月4日となるだろう。
少し心もとないが、とりあえずその前後に孵化するものと見て準備しておこう。
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