文鳥の夫婦愛

カンとハル
カンとハル

 「愛しているのは妻だけ」、などと人前で言っていた男が、その妻に先立たれて数年を経ずに再婚するのを見るのは、何とも情けない気持ちにさせられる。そして、愛していたのではなく妻に依存していただけで、他に依存する相手を見つければ済むのかと、嫌味を言いたくなるのだ。それも愛と言ってしまえばそれまでだが、少なくとも公言すべきではなかっただろう。言ったからには、墓場までその愛とやらを貫いてもらいたいものだ。
 しかし、それは人間の場合で、文鳥は先立った伴侶のことなど忘れ、すぐに再婚するのが普通である(してみると、再婚男の方が動物としては普通なのかもしれない)。今、カンは余命を数える状態で、ハルはその夫として付き添ったりして立派なものだが、やはりその日が来れば変わってしまうのだろう。その時になれば、嘆く姿を見るより、あっけらかんとしていてくれた方が飼い主としては救われるのだが(他に仲間がいないと嘆き悲しむらしい)、人間的な考え方で事前に想像すると、やはり釈然としないものを感じるのだった。

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