久々の動物病院

病院から帰り好きな場所へもぐるサイ
病院から帰り好きな場所へもぐるサイ(この姿勢が原因ではないかと・・・)

 居ざり歩き状態(「不自由な状態」と表現してもわかるまい)のサイを、念のため動物病院(グローバル動物病院)に連れて行くことにする。
 午前8時40分頃に家を出て、タクシーを拾って「横浜橋商店街入口へ」と指示する。あいにく運転手さんが格別地理に詳しいベテランだったようで、途中大通り公園側の入口に向かおうとするので、バス通り沿いに進路を変えさせねばらなかった。「大通り」と言ってしまうと、大通り公園側に行くと思い単純に指示したのだが・・・、微妙にやっかいな話だ。そして、開院時間(9時)の10分前についてしまった。確かにタクシーは便利だ。しかし、980円は高いのではないか?
 小さな病院の前には、すでに犬とその飼い主が3人ほど並んでいた。開院は9時だが診療は始まっており、中にも3、4人はいるはずなので、朝からなかなかの盛況と言える。小型犬が多く、鳥カゴを待つ飼い主はいなかった。

 この病院の獣医師ご夫妻は、ご主人は鳥の名医、奥様は犬猫の名医だ。患者(『患畜』などと言う古い言葉を私は認めない)は犬猫が圧倒的に多く、その飼い主はダウンタウンのおっちゃんおばちゃん、もしくは水商売のおねえちゃんが多いものと思われる。千葉や埼玉の鳥専門病院が盛況で、待ち時間が何時間とかかるといった話を耳にするが、ここは犬猫がにらみをきかせているためか、比較的穏やかなものとなっている。
 理屈ばかりの綺麗好きで、医療設備の見たくればかり気にするような人は、下町の毛並みの悪い犬が隣でうろつくような所に居つかないに相違ない。私としては好都合、実に結構なことだ。
 もっともここの広瀬先生は、今も週2回代診されている田園調布の小鳥の病院で、故高橋達志郎先生に師事した、のし紙付きの鳥専門医なのだった(大型の鳥にも詳しいには違いないが、本質的には小鳥専門医とした方が良いかも知れない。しかし、病院名をグローバルとされ、包括的な動物医療を実践されているのだから、専門云々に細かくこだわるのも失礼な気がする)。高橋達志郎先生と言えば、日本で始めて小鳥の病院を営まれた御仁で、その知識・技術は、ご自身が獣医師資格を持ちつつ、鳥の繁殖家を生業とされていた時に、いわば実践で身につけたものであったらしい。その愛弟子であられる広瀬先生も、ネット上仄聞するところでは、学生時代には十姉妹の繁殖をされていたらしく、その原点は飼鳥家と言える。小鳥の飼い主としては、聞き覚えの知識で頭ばかり大きな獣医より、よほど、いや、比べ物にならないくらいに信頼できる存在と言えるのではなかろうか。

 さて、幸い先着の犬君たちに重篤で緊急な案件がなかったため、20分程度で順番が回ってきた。病院嫌いで尻込みしていた、やや大きな雑種犬君が診療を終え遠ざかるのを待ち、紙袋から小さな鳥カゴを取り出して診療台に置き、4日から右脚がおかしいので、念のため診て頂きたいといった事情説明をする。
 ここに来るまでの緊張のためか、ほとんど見た目正常のように!)動き回るサイをカゴから取り出した先生は、脚などを触診し、骨折ではないが痛めた跡はあるとされ(人間でいうところの太もも部分を見ておられたようだが、もちろん素人には皆目わからない)、メスで6日前ほどに産卵との申告に対し、産卵中で脚に問題を起こしやすいといったことを仰られた。そして、液状の総合ビタミン剤と粉状のカルシウムを処方され、その与え方を説明されたのだった。
 飼い主の私は、万一の不安を払拭するため、つまり「骨折ではない」と医学的所見を得るのだけが目的だったので、正直薬などいらなかった。なぜなら、一時的なねんざのために、ヤッチと別居させ、水浴びを禁止する気などないので、頂いても無意味になってしまうのは知れきっていたからだ。それでも黙って処方して頂いたのは、そうしないと、一体治療費がいくらになるのか不安だったからに他ならない。もちろん高くなる不安ではない。「それならタダです」などと言われるのが、何より恐ろしい。それでいくらだったかと言えば、1,300円で、往復のタクシー代よりずっと安いのだから、嬉しいのか何なのか良くわからない。
 診察そのものは5、6分に過ぎず、タクシーに乗って家に戻れば9時30分過ぎだった。小1時間とかからずに済んでしまうのだから、待ち時間が数時間の病院に比べれば夢のようだ。ありがたい、ありがたい。

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