参議院選挙で「無党派層」から決別

私は支持政党を持たないのですが、結果として、これまでマスコミが言うところの「無党派層」と同じ選挙行動をとっている点に違和感を持っていました。ところが、今回の参議院選挙では、民主党の地すべり的圧勝に何ら貢献しませんでした。これで、ようやく大多数の国民的意志(民意)から離れることが出来たようです。
 今回の選挙は、有権者の多くが、民間の競争を促進するタイプの自由主義のひずみを感じ、そのような中で、年金問題、政治資金問題、閣僚の資質問題が重なり、政権政党に駄目出しをしたものと思われます。自民党候補の一人区での総崩れに加え、与党公明党の選挙区での議席減が、国民の意志を明示していると言えるでしょう。また、前回の衆議院「郵政解散」選挙で、自民党を勝たせすぎたといった感覚もあったかもしれません。つまり、民主党の勝利は当然なのです。
 しかしながら、比例区で前回21から14議席に減った自民党が負けすぎなら、11から20議席に増えた民主党は勝ちすぎたかもしれません。参議院で過半数を占めるに至ったこの二大政党の一翼、自民党に変わりうるはずの民主党は、これからどのように行動するのでしょう。もし、衆議院で決議されたことに対し、いちいち参議院で足止めをするようでは、政権党になり得るのか国民の疑惑を招き、かえって衆議院選挙でマイナスに働くことになるかもしれず、結局政権の座から遠のいてしまうかもしれません。
 参議院議員は非改選で6年も在職する安定した立場ですから、与野党どちらかを大勝させれば、その影響が確実に6年間継続してしまいます。従って私のような、二大政党的な政権交代を衆議院選で実現するのを望む者にしてみれば、参議院はいつでも与野党を伯仲させていなければならず、出来れば参議院議員は党議に寄らず是々非々で判断するような人であるべきだと言った結論となります。もし、衆議院の「カーボンコピー」として存在し、同等の権限を主張し、「常在戦場」の衆議院の足かせになるだけならば、参議院無用論が高まるものと思います。
 今回、民主党を大勝させた有権者には、参議院選挙を衆議院選挙同様に政権選択選挙と考えてしまった面があるように思います。しかし、そのような選挙行動を示した以上、勝ちすぎてしまった民主党の、特に党首の小沢氏が、この後どのように参議院を運営させるか、興味深く見守る必要があるでしょう。6年も党首であり続けられるおつもりかは知りませんが・・・。
 歴史的大敗を喫した自民党ですが、安倍総裁は辞任しないそうです。これは、引き受け手がないので辞められないだけだと思います。何しろ、自分たちの党の旗である総裁を非難する『甘え』を繰り返していたような者たちにも、この大敗の責任があるからです。選挙前には総裁を押し立て、一致団結して臨んでこそ、トップに敗戦の責を自覚させられると言うものです。それをトップの足を引っ張る利敵行為を行なった自分のことを棚にあげ、自らがそれに代わりうるような人物がいないわけです。
 何しろ、与党内野党のように、小言や愚痴ばかり繰り返したインテリの舛添要一氏は、前回150万票も得た個人票を、今回何と三分の一に減らしてしまいました。また、ご意見番的な立場を誇示した「トラちゃん」こと片山虎之助氏にいたっては、「お姫様」相手に落選してしまう体たらくです。彼らは自民党の参議院政審会長や幹事長の要職にある人々でした。本来なら、常に政権の側に立って発言せねばならず、間違っても選挙の旗である党首に泥をかけるようなことは出来ないはずだったのです。その点二大政党制を前提とした選挙の恐ろしさを、十分に理解していなかったのではないかと思われます。非難がましい言辞はすべて自らに降りかかることを、ご両人とも、あれだけ博識であるにも拘らず、認識していなかったわけです。また小泉前首相には恩もありながら、その政権、また現政権に常に批判的な印象のある加藤紘一氏の地元山形県でも、彼が県連会長として立てた自民党候補者が、大差で落選しました。つまり、議院内閣制における二大政党制が定まってくれば、選挙を前にした自党のトップ批判は、完全な利敵行為であり、かつ天に唾する行為に他ならず、少なくとも『表向き』には慎まなければならないのです。非難したところで、まるで自分の票につながらないのは今回の結果を見れば、いい加減に理解出来るのではないかと思います。
 今回の選挙も、大きく見れば、細川連立政権以来、相互に政権党となりうる二大政党制を志向し続けている民意を如実にあらわしています。それは、自民党の大敗、民主党の大勝の陰で、その他の小さな政党が全くふるわなかったことを見れば明らかです。例えば「確かな野党」を目指した共産党は4から3議席に、「憲法9条を守れ」とした社民党も3から2議席に減らしてしまいました。大多数の国民の望むのは、現実に根ざした政権を担える政党であり、政権をとる気もない無責任な野党は、その主張なり思想の内容以前に願い下げなのでしょう。この大多数が志向するところの2大政党による政権交代に、今回の結果がマイナスに働かないように願うところです。

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